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持ち帰ったキャラで雑談 その二
117
:
確執編十六章:同志の見極め 2/6
:2007/07/17(火) 21:28:31
「セーリス」
驚かそうと思って背後から声をかけたけど、彼女は少しも動じた様子がない。
きっと気配か何かで気づいたんだろう。
「…………何?」
ひどく平坦な声。彼女は滅多なことじゃ声に感情を含めない。
「いや、一人で何してんのかなーって」
「特に何も。木々を見てたの」
言うとおり、セリスはさっきから視線を同じ方向に向けたままだ。
相手にされてないと腹を立てるよりも、あたしは彼女のまなざしの色が気になった。
「何でそんな眩しいものでも見るような目をしてんの?」
その様子は、一言で言えば、憧憬だった。
「……この世界にも、美しいものはあるのね」
セリスの視線がこちらを向いた。
潤むように濡れた瞳があたしの双眸を射抜く。
同性のあたしでさえ胸が高鳴る艶っぽい姿だった。
「自然が、好きとか?」
「えぇ、とても。私の周りにはなかったものだから」
――キンッ
震えるような金属音。
そうして、セリスは『初めて右手から剣を離した』。
どんな状況下でも戦場を想定するのは、もと軍属としての性だろうか。
「……ねぇ、アーチェ。少し話をしましょうか」
願ってもない提案だった。
そうしていきなりぶつけられた質問がそれだ。
正直な話、あたしの方から何を聞こうとしてたかなんて全部吹っ飛んだ。
「人を好きになる、ねー……」
思わず空を見上げる。残念ながら星は見えない。
「んー、まずどうしていきなりそんなことを聞くワケ?」
「大した理由はないわ。単純に興味があるだけよ」
一番厄介な返し方をされてしまった。これではごまかしようがない。
「けど聞かれてもあたしには特に好きなヤツなんていないしえぇいないし」
自爆ってこういうことを言うんだろう。あー空しい。
セリスはそんなあたしの様子をきょとんとした顔で見た後、ふいに苦笑した。
「別に男女の事に限ってはいないの。親子愛とか、友情とかも『好き』って呼称するでしょう?」
うわ壮絶な自爆。
「私はあまりそういう感情を抱いた経験がないの。物心ついた時には独りだったから」
熱く火照った頬に思いっきり冷水を浴びせられる。
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