したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

持ち帰ったキャラで雑談 その二

116確執編十六章:同志の見極め      1/6:2007/07/17(火) 21:26:39

 ・二日目 サイド:アーチェ PM8:30

「人を好きになるって、どういうものなのかしら?」
 面と向かって言われたあたしは、その突然の質問に呆然とするしかなかった。

 ・二日目 サイド:アーチェ PM7:30

『………………』
 鉛のように重苦しい沈黙。
 息を吸うのさえ罪の意識を覚える停滞した空間に、あたし達は腰までどっぷり浸かってた。
 黙々と動かす箸に、だけど人の意思が介在してる素振りは見られない。
 水飲み鳥のように、あがっては、おりる。機械仕掛けのように単調な動作。
 ――あたしは今、何をしてるんだっけ?
 自問する。答えは意外にも明白だ。
 箸を動かし、お皿に盛り付けられた料理を掴み、口に運ぶ。
 ただし、どこまでも機械的に。
 栄養を摂取するだけの物体と化したあたしに、もちろん味を感じる器官なんてあるはずもなく。
 つまりは味気のない夕食を味わってるわけだった。
「…………ごちそうさま」
 ビクリと。
 突如崩壊した静寂に、その場にいた全員が身をすくませた。
 声の主はそれにさほどの感慨を抱いた様子もなく、「ちょっと風を浴びてくる」と言って部屋を出て行った。
「………………ふぅ」
 誰かが息をつく音。それはあるいはあたしだったかもしれない。
「何でこんなに緊張してんだろ」
 杏の言葉に、あたしは曖昧な表情を浮かべることしか出来ない。
 たった一人、部屋から人数が減った。
 それだけで空気はいつもと同じに戻っていた。
「なんかアイツの雰囲気って、あたし達を拒絶してる気がするのよねー」
 ――そう。
 たった今部屋から出て行ったアイツ――セリスは、ここに来てもいつもと同じだった。

 セリスは家にいてもあたし達と積極的に言葉を交わそうとしない。
 何というか、周りを近づけないのが自然って感じだ。
 けど、拒絶してるってほどでもない。距離を置いて会話するのは可能で、無闇に近づけば避けられる。
 だから彼女に特別な印象は持ってない。良くも悪くも、彼女は空気みたいな存在だ。
 ――違う。正確には、存在だった。
『迷うべき時は、必死に迷って。けど、決断すべき時には躊躇わないで』
 セリスはいいヤツだ。
 どうしてあたしを助けてくれたのか。
 どうしてあんなに本気の目でいられるのか。
 ――どうすればあたしはあたしにとっての正しさを見つけられるのか。

 あたしは、彼女と話がしたい。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板