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引力７２
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マスター
「今、電話くれた？」
店に入るなり問われる。
どうやら予約の電話が入っていたらしい。すぐに他のお客さんがきた。
地元の客だ。50代くらいだろうか。昔の話に花が咲いていく。
最近ケモノを多く見かける、道にタヌキ、珍しい小型のクマ、人が減ってきたからだという考察。
街の祭事の先行き、コロナ影響、宴会開けない、人がいない、踊りの踊り方を伝承する人がいない。
あの国道が進路があっちに曲がったから発展しなかった、それを決めたのは政治だ。
自分の親より長生きしたい、家は代々そんなに長生きしていない、親父は72くらいで逝った。
今の人たちは勤め人だらけだ、昔は稲植えて水張りして草刈ったら酒飲んで暮らしていた、
だから山入ったり、踊り教えたりできていたんだという考察。
おれは目をつむり話を聞きながら過ごす。
ゴールデンウイーク以来久々にこうして体をじっとしてゆっくりとした時を過ごせたな…。
「さ、できた。 お前は（勤め人で）残業か？（疲れた顔してるぞ？）」
「ああ〜、そうなんです、してます〜〜。。」
目を開け、鏡に映った姿を見て。（このオールバックスタイルは誰？！？？？）
ありがとうございますと、店を後にした。
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