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百物語2017雑談 兼 避難所スレ

124メメコ 4/4:2017/09/17(日) 00:39:28 ID:???
立ち止まってじいさんが風車を手に取ろうとしたが、娘は離さない。
娘がじいさんの顔に風車を向けると、くるりくるりと回って、
それを見ているうちに頭がぼうっとなってきた。
じいさんは「これはいかん、化かされてしまう」と思い、
懐に入れたかんざしは紙に包んであったが、そのまま先っぽで自分の腿のあたりを突いた。
その痛みで我に返ったじいさんは、手を伸ばしてぐっと風車をつかんだんだ。
「ぴー」という鳴き声がして、じいさんの手には、ぼうぼうの狸のしっぽが握られていたんだ。
まだ若い雌の狸だったそうだ。
じいさんは、「俺の目を回そうったってそうはいかん。お前のほうが目が回れ」
そう言って、二、三度狸を振り回してから脇の薮に放り捨てたんだ。

ザザッと逃げていく音がしたそうだ。
じいさんは一人で大笑いしながら、足取りを早めて村に入ったんだ。
家に着いたときは明け方近くになってた。
で、懐から紙包みを出し、開けて見て驚いた。いつの間にか赤い珊瑚の飾りのかんざしが、
ごていねいに一つ実をつけた木の枝に変わっていたんだそうだ。
「いや、このときはやられた。始めからこれをねらってたんだな。
 それにしてもずる賢いもんだ。お前も覚えておけ。
 狸ってのは自分のしっぽを回して人を術にかけようとする。
 だけどもよ、俺は酒飲まなかったからこの程度で済んでたんだ。
 酒好きなやつは、もっと手ひどい化かされかたをしたぞ」こんなふうに話した。
じいさんも年とって山へ行かなくなってからは酒を飲むようになり、
それからしばらくして卒中で死んだよ。


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