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百物語2017雑談 兼 避難所スレ

122メメコ 2/4:2017/09/17(日) 00:38:00 ID:???
二十夜を越えると下弦の月だよな。俺はあんまり詳しくないが、
満月じゃないし、そもそもまだ月が高く出る刻限じゃない。
じいさんが、これはおかしいと思ったとたん、つぶてが足下に降ってきた。
それも不思議なんだよ。森の中ならともかく、そのときいたのは見晴らしのいい尾根で、
石を投げれば投げた場所がわかるはずだ。
それがまるで中空から湧いて出るように2発目、3発目が飛んできた。
4発目、大人の握り拳大のが頭をかすめたとき、じいさんは飛び退って斜面に伏せた。
でね、背負ってた鉄砲を抜いて、慎重にねらいを定めて撃ったんだ。
何を撃ったかって? もちろん、空にかかる満月だよ。
ガーンと鉄砲の音がし、そしたら空のほうでもガーンという音が響いたんだ。

目をぱちくりさせると、月はなくなってた。
で、さっき出てきた森の中から「ぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ」と、
大勢の笑い声が重なったような音がした。ぞーっと怖くなったが、
じいさんは鉄砲を収めると立ち上がって胸をはり、腰の山刀を見せつけるようにして、
ゆっくり歩いて小屋へと向かったんだ。
で、小屋について入り口の筵をめくると、土間に大きめの銅鍋が転がってた。
拾い上げると、底がへこんで大きな穴が開いていた。鉄砲の穴だとわかった。
それでじいさんは合点がいったんだよ。
鍋は、前にその小屋に山仲間と入ったときに狸汁を煮るのに使ったもんだったから。
夜っぴて寝ず、囲炉裏の火を絶やさないよう警戒して過ごしたせいか、
その後はおかしなことはなかったらしい。


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