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WAPスレ雑談55

355戦車曹長(弟):2009/05/15(金) 20:53:59
―何処かの研究機関の施設内・試験場―

(強化ガラス越しにWAPが一機、様々なチューブに繋がれて鎮座している。
   それに一瞥くれながら、如何にも学者といった風体の女が、手にしたボードに何事か書き込んでいる。
   書き込みが終ると、近くのコンソールに据え付けられたマイクに向かい、一声出した)

「今日はもう良いわ。降りてらっしゃい」
『はい』

(まだ十代と思しき娘の声。 ややあって、WAPのコクピットが開け放たれ、声の主が姿を現す。
   入院患者の如き身形。声の印象そのままの幼い姿の娘は、機体から降り階段へと向かう。
   暫し後、学者風の女のいる制御室のドアが開閉した)

「御疲れ様、イヴ。続きは明日にしましょう」

(娘に微笑みを向けると、娘もにこりと笑みを返し、女の前を通り過ぎて行く。
  その娘の首筋には、S型パイロットを示すジャックがちらりと見える。
  女の隣でつまらなさそうに壁に持たれていた男がそれを見、ぼそりと呟く)

「…今更S型の研究か?」
「違うわ。そんな欠陥品と一緒にしないで頂戴。 …D-Planよ」
「…俺は学者じゃないんでね。説明してくれ。何なんだ、そのディ…なんとかってのは」
「…(ふぅ、と溜息をつき) ディー、プ、ラ、ン。 DはデュアルのD。
   研究上、どうしてもS型パイロットが必要だったから、彼女に被験者になって貰ったの」
「それで? 従来のS型とどう違う?」
「…貴方、バイオニューラルデバイスはご存知?」
「其処まで馬鹿じゃない。ハフマン紛争時、一般販売されてた、培養脳を使った高性能CPUだろ?
   一部は成人兵士の脳も使ってたっていうが…」
「はい、良くできました。(馬鹿にした様に言った後、くすりと笑い)
   あそこにある機体。あれにはそのBDが搭載されているわ。市販品の培養脳タイプだけれど。
   殆ど回収、または破棄されてて、手に入れるのに苦労したわ」
「へぇ…そんな骨董品の脳味噌で、何が変わるってんだ?」
「…此処からよ。 従来のS型パイロットは、機体と脳を接続し
   機体を身体同様に動かす力を手に入れた。
   けれど、それを制御仕切るには、一つの脳では負荷が大き過ぎた…
   知ってるでしょ、記憶障害の事?
   私達の研究しているD-Planは、機体、並びにBDとS型パイロットを接続し
   『二つの脳』で機体を制御する方法よ」
「…うすっ気味悪いが…それで記憶障害とやらもどうにかなるものかね?」
「脳を酷使する以上、記憶の欠落は免れないのだけれど…
   片側の脳に記憶のバックアップを取っておく事で
   再アクセスした際、失った記憶を補間する事が可能よ。
   所謂、外付けのHDD見たいな物ね。
   それに、脳への負荷も二つに分割されるから、障害の進行度は従来よりずっと遅い」

「(それに、と一言付けたし)これが最大の利点。
   脳を複列化する事で、単純計算で、常人の二倍の記憶容量と演算能力を得る事ができる…。
   人を越えられるのよ。D-Planが確立すれば…!(興奮した調子で捲くし立て)」
「…それで、さっきの餓鬼がモルモットって訳か…」
「失礼な事言わないで頂戴。 …彼女が人類で初めて人類を越える最初の人間…イヴよ。
   そして…(つ、と手をガラス越しの機体へ向け)あっちが『アダム』」
「け…(大仰な調子に苦笑を漏らし)…で、人間以上になったあの餓鬼にゃ何が見えるんだ?」
「栄光の未来…人類の夜明けね」
「…そりゃあんた等の見解だろう。
  …モルモットにされ、脳を弄られ、人生を弄ばれて…その先に何が見えるんだ…?」


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