WAPスレ雑談55 - 1241884511 - したらば掲示板

2715：戦車曹長（弟）：2009/07/27(月) 21:35:13: ―一ヶ月後―

（真新しく塗り替えられた艦内を、二名が靴音高く、連れ立って歩く）

「少尉、本日の訓練スケジュールは……」
……おぉい。（やや諦めた顔で、少し後ろを歩く者に振り返り）
「……はい？」
……少尉って呼ぶなぁ止めろ。　…曹長で良い。
「は……？　え、しかし……（階級章と顔を交互に見比べ）」
良いから！　此処じゃ曹長って呼べ！
「は、はぁ……」

（二名からやや離れた位置で、壁に寄りかかりながら、そのやり取りを数名が見守る）

シルヤ「まぁた、くっだらない事に拘っちゃって……折角昇進したってのにねぇ」
ヘルガ「ずーっと拒んでたからね、昇進。違和感あるんでしょ（煙草に火を付けようとしつつ）」
ロルフ「…艦内で煙草はよせ。またシャワーでも浴びたいのか？」
ホルスト「…何にしても、良くまぁ全員教官職って事で纏まったもんだ…」
シルヤ「大尉と大佐の根回しのお陰さ。あの馬鹿一人じゃ纏まらなかったろうけど」

…聞えてンぞ手前等。おら、ボサっとしてねぇで手伝え！　もうじき対WAP訓練始めっぞ！
サキムニを暖めとけ、それと訓練兵共の機体もな。
今日はとっとと終らせて、俺ぁ帰ンぞ。

ホルスト「へいへい……少尉殿っと」
……ホルスト、手前は便所掃除も追加な。訓練終るまで艦内全部のやっとけ。
シルヤ「早く帰るって、何か予定でもあんのかい？」
あン？　あぁ……訓練施設への改装だ何だで、禄に構ってやれなかったからな。
たまにゃ家族サービスって奴だ。構わねぇだろ？

大尉「…昇進してもサボタージュ癖は抜けんか？」
…あ！？　あー…いや、その、ね…。
大尉「…が、まぁ今日は構わんよ。たまには息抜きして来い（微笑を浮かべ）…曹長」
…へ、毎度どうも。
…ま、家族がいなきゃあ俺ぁこういう事にもなって無かったでしょうよ。
どこぞで身元不明死体が関の山だ。だから、ないがしろにゃできねぇモンで。
大尉「実に君らしい事だな。では、早く済ませるとしようか」
諒ぉ解。
さて…そいじゃ野郎共、戦車隊、前へ！

―戦車隊は訓練部隊へと再編成されたが、時折その枠組みを越え、新任『少尉』の指揮の下
　　　実戦へと出撃する事もしばしばあった。無論、本国へは無許可であるが…。
　　　後、訓練部隊は、十分な経験を積んだ士官、下士官を輩出する事で知られる。
　　　新任少尉は後、作戦行動中の被弾による後遺症で実戦を退くも
　　　訓練部隊に残り、最期まで教鞭を取り続けた。

　　一先ず、彼の物語は此処で幕を閉じておく。
　　訓練部隊設立後、長期休暇を取った彼は、家族を伴って世界各地を巡り
　　彼の妻の故郷を捜す事となるが……それはまた別の話だ。

　　　―Das Ende―

http://www.youtube.com/watch?v=vOjtU2Psxp0&feature=related