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あと3話で完結ロワスレ
86
:
288話:絶望の終わり/始まりの時
◆c92qFeyVpE
:2012/12/30(日) 13:42:46
行ってください。
そう続けようとするが、それよりも先にキン肉マンに抱き上げられてしまう。
「それ以上言わんでくれ……フェイトちゃんとリエラちゃんは気の毒じゃが、君だけでも連れて行くぞ」
「何を……私を連れて行ったところで、足手纏いにしかなりません」
「私はこの戦いで数え切れない程の仲間を失った。
もう、これ以上誰かを見捨てたくないのだ」
そこでようやく気づいた、キン肉マンの目に涙が溜まっていることに。
彼とフェイトは長い間行動を共にしていたと聞いた、ならば、彼女の死に思う所はあるだろう。
だが今の状況では亡骸を弔う余裕などありはしない、それはこの三日間で嫌というほど思い知らされた。
「だから、君は私が必ず守る……だって、私達は友達じゃないか」
「……ナノハといい貴方といい、優しすぎます。――ですが、今は少しだけ……甘えさせてください」
◇◆◇
―――その男は、酷い人間だった。
利己的で、ワガママで、暴力的で、スケベで、自分の事ばかり考えていて。
それでも、男に惹かれる者は多く。
その男自身も、周りへと向ける感情に変化が現れ。
きっと、近い未来には英雄と呼ばれるに相応しい男となっていたであろう。
そんな男が―――
「ラン、ス……?」
そんな男が、目の前で死んでいるという事実を、マジック・ガンジーはすぐに受け入れることができなかった。
「嘘、よね……」
どのような戦いが繰り広げられたのだろうか、周囲の通路は壁・天井・床と破壊されていない場所を探す方が難しい程に荒れている。
だが通路が荒れ果てていることになど気づいてすらいない様子で、マジックはふらりと倒れ伏したランスの下へと歩み出す。
「だって、放送じゃ貴方の名前なんて……そ、そっか、死んだふりでもしてるんでしょう?
貴方のことだから、そんな趣味の悪い冗談ぐらいやるわよね……」
「マジック……」
ピクリとも動かない体へと呼びかけ続けるマジックへと、アリスは何も言葉をかけられない。
こうしている間にもタイムリミットは近づいている、今も尚海東大樹の足止めに徹しているブロントのことも気がかりだ。
今生き延びている者達で頂上に一番近いのは自分たち、ならばここで立ち止まっている暇などないことは、二人共理解していた。
それでも、その足は動かない。
「ねえ、何とか言いなさいよ……いつもみたいに、グッドだーとか言ってよ……」
語りかけることに意味が無いことなど判っている。
一秒足りとも無駄にできないことも理解している。
それでも彼ならば、どんな神にも起こせない奇跡すら起こして蘇るかもしれないと。
そんな馬鹿げた希望すら抱く程に、マジックにとってランスという存在は大きかった。
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