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あと3話で完結ロワスレ
730
:
第298話『運命に囚われし者たち/運命に挑みし者たち』
◆9DPBcJuJ5Q
:2014/01/16(木) 00:50:48
ここで更に大神アマテラスの尾先が翻り、イビリチュア・リヴァイアニマを包む大きな○を描いた。
2対の鳳凰が認めアマテラスも共感した真の理想を掲げたワカ武者の、その御旗に記された紋様と同じ。日輪と同じ形を描く、命の力を司る桜花の筆しらべ。
桜花の筆しらべの隠された効果も作用し、力を失っていたリヴァイアニマはそれを拒絶することも無く受け入れて、リチュア・アバンスの姿へと戻った。
アバンスは突如として儀式の効力が覆されたこと、失われていた理性が急に取り戻されたこと、吸収していた莫大な力が一挙に抜け出た反動で昏倒したが、すぐに意識を取り戻した。
すぐ傍に、懐かしい魔力を、温かさを感じたから。
「エミリア……?!」
「アバンス」
互いに名を呼び合い、一方は驚愕に目を瞠り、一方は穏やかな笑みを浮かべた。
お互いに、もう2度と会えないと、言葉を交わすことは出来ないと諦めていた最愛の人に、名を呼ばれた、名を呼べた。
これだけでも2人は、2人を見守る者達は感無量だった。
「俺は……」
しかし、アバンスはそんな感慨には耽ることは出来なかった。
朦朧とした意識が、却って偽らざる本心を、素直に吐き出させる。
「君を、守りたかった、救いたかった。その為なら、俺の命なんか……いらないのに…………」
滂沱の涙を流しながら、アバンスは後悔に塗れた言霊を吐いた。その相貌に浮かぶのは、悲哀と自責。
愛する人を救えなかったことに対する後悔だけが、アバンスをここまで突き動かしていた。
同時に、理性を取り戻したことで自分を襲った悲劇に耐えられず、その怒りと悲しみを殺戮という最悪の形で無関係の大勢にぶつけてしまったことへの自責の念が、どうしようもなくなってしまった今になって胸を貫く。
アバンスの口は更に言葉を紡ごうとするが、それ以上は声が出せず、涙を流しながら、餌を求めるひな鳥のようにぱくぱくと口を動かすしかできなかった。
そんなアバンスの姿を見て、エミリアは柔らかに微笑んだ。
「なら、私からのお願い。私の分も生きて、アバンス」
あの時に伝えられなかった、大切な人への切なる願い。それを伝えることだけが、エミリアに残された心残りだった。
同時に、エミリアの姿が薄らぎ、消え始めた。
シャルトルーズには元々時間制限があるのだが、こんなに早くない。エミリア自身の魂が限界を迎えつつあるのだ。
「エミリア!!」
アバンスは無我夢中で、消え行くエミリアを抱き締めた。
力強くも優しく、しっかりと、二度とこの温もりを忘れない為に。彼女が最期に、温もりを感じていられるように。
エミリアは涙を流しながらも笑顔のままでアバンスを抱きしめ、愛しい人の腕の中で消えて行った。
誰もいなくなった腕を解いて、アバンスは涙を拭い、泣くのをやめた。最愛の人から託された願いのためにも、泣いている暇などもう無いのだ。
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