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あと3話で完結ロワスレ

728名無しロワイアル:2014/01/16(木) 00:37:42
「ア、バ……? だれ…………??」
 しかし、エミリアの親友の言葉も、今や届かない。
 最早アバンスは、自分の名前はおろか、自分が元々は人間だったことすらも忘れてしまっていた。
 アバンスだった怪物の発した声に、マローネと切歌は悲しみのあまり声を失う。
 その瞬間に生じた隙に振り下ろされた魔剣シヴァを、大神アマテラスの沖津鏡が盾となって防ぎ、劉備が隻腕のまま斬って掛かる。
「忘れるな! 思い出せ! お前はリチュア・アバンス! 俺達の、友だああああああ!!」
 タクティモンに襲われたマローネとアバンスを、絶体絶命の窮地から救ったのが劉備だった。
 劉備はアバンスの心の傷の深さを見抜けず、彼が心の闇に呑み込まれてしまうのを引き止められなかったことを、ずっと悔いていた。
 しかし、劉備とアバンスが共にいた時間も交わした言葉は決して多くない、むしろ少ないくらいだ。
 それでも劉備がアバンスを友と呼ぶのは、彼が元々懐いていた志を聞いていればこそ。
 戦乱で荒れ果てた世界に、2人の母から授かった知識を教え広めて復興の礎となり、人々が笑顔で暮らせる明日を作ること。
 その志は劉備と同じものであり、確かにあの時2人は同じ志を共有する友となれた。そのはずだったのだ。
「ジゃ、ぁ、マぁアアアア!!」
 アバンスだった怪物には、もう劉備の声も届かない。それどころか、事態は急速に悪化する。
 怪物の体から突如として3つの首が現れ、劉備に襲いかかったのだ。
 劉備は咄嗟にかわそうとするも、隻腕となり重心が変化してしまった体では、以前のような身のこなしは出来ず。
「ぐわああああああ!!」
 回避を損ない無防備を晒した劉備の体に、三ツ首の龍の牙が突き立てられる。それに続いて更に2頭の龍の首が生えた。
「劉備さん!」
「劉備!」
 マローネと切歌が悲痛な叫びを上げると、まるでそれを見計らったかのように、更なる龍の牙が劉備に襲いかかった。
 現れた龍の名はトリシューラ、グングニール、ブリューナク。
 ケルキオンによって闇とヴェルズの呪縛から解き放たれたはずの氷結界の三龍。彼らは今、再び闇へと堕ちてしまっていた。
 ヴェルズ化との違いがあるとすれば、それぞれの龍の顔に今はキュウビの仮面が憑いていることだ。
 これこそは、妖魔王キュウビの呪い。
 暴走したアバンスによって逆襲されたキュウビは、自らも取り込まれることを悟るや、その妖力の全てを自らの仮面に封じ込め、アバンスに呪いを掛けた。
 より深く、より暗く、闇の深淵へと堕ち、地獄の底でのた打ち回るように。
 かくしてキュウビの呪いは今この時に実を結び、アバンスが無作為に取りこみ続けた闇の力をも取り込み、増幅していく。
 この上龍帝の魂をも喰らい闇に染めてしまえば、その時は妖魔王の復活もあり得るだろう。


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