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あと3話で完結ロワスレ
689
:
剣士ロワエピローグ
◆9DPBcJuJ5Q
:2013/08/26(月) 01:11:59
「何のご用でしょうか? ご覧のとおり、ここは何も無い島ですよ」
「俺の友……ダリオの剣を届けに来た」
青い鎧の騎士の言葉を理解するのに、普通よりも遥かに時間が掛かった。
もう二度と聞けないと思っていた名前が、唐突に告げられたから。
「ダリオの!? 貴方は、一体……?」
彼女が問うと、騎士は兜を脱ぎ、答えを口にする。
「俺はゼロ。ダリオに救われ……ダリオを死なせた大馬鹿だ」
その報せを聞かされて、彼女は言葉を失い、何とかその場に崩れ落ちるより前に椅子に座る。
覚悟はしていたはずなのに、改めて他人の口から事実として告げられたその言葉は、ダリオの訃報は彼女の心を粉々に砕いてしまう程に強烈だった。
暫時、小屋の中を静寂が包む。彼女は伝えられた言葉を受け入れなければならないと分かっていながら、上手く飲み込めないまま、ただただ沈黙だけが過ぎて行く。
やがて、堪りかねたのか、或いはこのままでは彼女は一言も発せないと察したのか、ゼロと名乗った騎士が再び口を開いた。
「俺が我を失って暴走した時に、ダリオと衛有吾……俺の友は、俺を斬り捨てることを選ばず、俺を救うことを選んでくれた……。なのに、俺は、あいつらを……殺して、しまった」
「そんな……」
告げられた、あまりにも残酷な事実に、彼女は言葉を失った。
もしもゼロが、虫が鳴くように表情を変えずに声を発していただけだったなら、彼女はゼロを憎み罵声を浴びせることもできただろう。
だが、ダリオともう1人の友人の死について語ったゼロの表情は、隠し切れないほどの悲しみと後悔に塗れていた。
感情を不要に表に出すまいと表情を強張らせているのが分かってしまい、殊更痛ましかった。
それでも、ゼロは決然とした表情で、言葉を紡ぐ。
「あんたが望むなら、俺はここで死んでもいい。だが、その前に……どうか、この剣を受け取って欲しい」
そう言って、ゼロはダリオの形見というべき剣を、彼女へと差し出す。
幾度かゼロと剣とを交互に見比べて、彼女は一つの疑問をぶつけた。
「……何故、私にこの剣を?」
この剣を返すならば、廃墟と化しているとはいえかつてアカシア龍騎士団の本拠地だった蛇骨館か、歴代の四天王の御魂が祀られているテルミナの霊廟こそが相応しいはずだ。
それを何故、ゼロはわざわざ辺境の小島の、誰も知らないような女の下まで届けに来たのだろうか。
気が動転して、却ってそんな率直で素朴な疑問が湧いて出て口を突いて出てしまった。
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