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あと3話で完結ロワスレ
668
:
ep298.主人公はもう居ない
◆LO34IBmVw2
:2013/08/22(木) 21:59:38
それを尻目に、青年は続ける。
銃口は震えていたし、膝はがたがたと笑っていた。それでも無様に、間抜けに強がって続けた。
「分かってたはずだろ、お前だって。めだかちゃんは対主催陣営の最後の希望だった。誰もあいつが負けるだなんて、疑わなかった。ちっとも。
こんなどうしようもない奴等が、夢を見ちまってたんだ。めだかちゃんなら勝てるって、何でも出来るって。信じてた。
めだかちゃんには皆をその気にさせる何かがあった。口を開けば説得力の方が後からついてきた。めだかちゃんは絶対の存在だった。
皆言わなかったけど分かってた。俺達がめだかちゃんで保ってたって事ぐらいは。でも言う必要すら無かった。
何故ってめだかちゃんが負けるだなんて誰も思わなかったからだ。だから心配する必要が無かった。
ヘンリエッタ・ビンセント・ルーシー戦で沢山の強ェ奴がくたばったけど、皆が諦めなかったのはだからなんだ。
めだかちゃんが居たから、生きていたから。何とかなるって信じてた。希望を見てた! 本気で!!
それにマーダーも本当ならヘンリエッタ達で最後だったからな。皆、浮かれてたんだ。
あとは首輪解除だけだった! それも改心した都城と玲音ちゃん達が居たからなんとかなるはずだった!
球磨川の『重い愛』の影響もあったけど、それでも乗り越えてきた様な強い奴等だったんだ!
俺達対主宰陣営の勝利は目前だった……なのに、なんでだよ! それを、何でだ!! 何で!!!」
「……めだかが……悪かっ、た、だけよ……」
少女はけれども血だらけになりながら首を降り、その一言で全てを終わらせる。
いっそ清々しい程の一貫性。ともすればそれが真実なのではないかと疑うほどの真っ直ぐさだった。
或いはそれは、少女の声色と容姿からその奥に純粋さを見ていたのかもしれなかった。
青年は、惑わされてはいけないと銃を握る力を強くする。
winnyを使って小学生の裸を集めた事も、通学路の茂みに隠れて児童を盗撮した事も確かにあった。自分は立派なロリコンだ。
ただ、目の前に居るのは諸悪の根元だった。幾ら純粋無垢な皮を被ろうが、その腐った性根は消えないはずだ。
「勝……手に、皆を……襲って、私……ねぇ、信じて……私は……めだかに、噛、み……付い、たり……してない…の…。
命、令だっ、てして、ない……めだか、は、私の、大切な……お友達だ……もの……人狼に、なんか……しな、い……わ……」
異様な光景である事は、誰もが理解していた。
血の涙を流しながら罪人でない事を説く少女に、大人が三人掛かりで言葉攻め。どう甘く見ても普通の状況ではなかった。
「私を、信じて」
ただ悲しいかな、彼女の言葉が真実であるか否かは、この場ではさしたる問題ではなくなってしまっていた。
彼等が望むのは、真実ではなく彼女の死そのものだったからだ。
それは自分達が役立たずではなかったのだと、仇を討ったのだと、自分に納得させる為。
あの時逃げたけど、でも今回は逃げなかったのだと、居もしない死者に許しを乞う為。
とことん下らない理由だったが、彼等はそれがないと生きていけなかった。逃げる事が出来なかった。
最後まで現実と立ち向かわない。腐り切った根性は、少女に罪を被せる事でしか、弱い心を守れなかったのだ。
桐敷沙子の正体や諸行は、やはりその為のただの口実に過ぎなかった。
「……もう黙れよ」少年が言う。「桐敷、お前は少しやり過ぎた」
少女は何も言わなかった。その変わりに首筋に当てられた刃を受け入れ死を享受する様に、瞳を閉じて涙を流した。
「返せよ、皆を。生き残ってなきゃいけなかったのは、あいつらだったんだ」
青年が銃口を向け直しながら言う。少女は肩を揺らしながら力無く笑った。自嘲に歪んだ唇は、酷く青白い。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーお前なんか、産まれてこなけりゃ良かったのに。
青年が呟いて、銃声が鳴る。
少女はそうしてただの肉片になった。
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