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あと3話で完結ロワスレ

662ep298.主人公はもう居ない ◆LO34IBmVw2:2013/08/22(木) 21:44:57

「だとしても人殺しは刑法38条によって定められた立派な犯罪でっ! この場合過失致死にも該当しなさそうだし……。
 あっ! でもこの場合バトロワっていう特殊環境下にあった事が考慮されるのか……?
 いやいや、でも相手が幼女って言い訳厳しいだろうなぁ……今の世の中、ロリには厳しいし……猟銃や刃物だって持ってるし、それだけでも犯罪なのに。
 なにより沙子ちゃんは右手折れてるから……。
 それを分かってて五人掛かりで私刑か……うん、厳しいな。
 それに殺人はやっぱりよくない……何故なら今日の日本社会において、そう法律で決められてるからでっ」
「こんな状況であんたはまだそんな悠長な事言ってんのか!」
「ひいっ!」

少女を乱暴に投げ捨て、青年は男の胸倉を掴んだ。ぴしりと空気が張り詰める。やれやれ、と少年は溜息を吐いた。
ランタンが男の手から弾かれて、派手な音を立てながら床を転がる。ごう、と炎が鈍い悲鳴を上げた。

「おいおい。喧嘩なら外でやってくださいよ。俺、プロレスとか嫌いなんで」

少年が肩を竦めて皮肉気に呟くと、青年は男をつっぱねて恨めしそうに睨む。

「……そういう比企谷はどう思うんだよ?」

妥当過ぎる意見に少年は一度だけ眉を潜めたが、やがて観念した様に溜息を零した。
そうして口を心底嫌そうな表情で開くのだ。こういう場で意見はらしくないが仕方無い、と。

「……答えなんて出てるだろ」
「何か言ったか?」
「いや……。正直、興味はないですけど……生かしておく必要、ないんじゃないですか?」

そう。こうなってしまったのは彼女のせいではない。だが、あくまでもそれは理屈である。
理屈で人は動かない。理屈で動くのは、プログラムと弁護士と、ごく一部の生真面目な変人くらいなものだ。
比企谷八幡は人間が出来ていなかった。理屈は好きだが、彼の理屈はやや利己的な方へ婉曲した……端的に言えばただの屁理屈なのだ。
故に少年は、糾弾こそしないがーーー決して少女を赦すつもりはなかった。
なにより実際問題、この件はそれ以外に解決方法が無いのだ。
彼女は残された最後の絶対悪であり、捌け口だった。彼女は彼等の為に死ななければならなかったのだ。
それは生き残った誰もが分かっている事だった。何よりも理不尽で、何よりも合理的。そして何よりも必要な犠牲だった。
嗚呼そうとも。断言しても良い。


桐敷沙子は今から、彼等の言い訳と、中身の無い復讐心と、自己満足の為だけに無様に死ぬ。


「起き上がりたいなら別ですけど、皆さん違うでしょう? まぁ、起き上がる為の時間もねーんですけどね。
 でもこれ以上面倒を増やすくらいなら、ここで処理しておくのが余程合理的ですよ、多分」

僅かに間があったが、やがて青年が額に汗を浮かべながら笑った。張り付いた様な気味の悪い笑みだった。
男は眉間に皺を寄せて押し黙っている。青年はそれを見て笑みをぴたりと止め、唇を釣り上げながら男の肩をぽんと叩いた。

「決まりだぜ、鈴木のおっさん。三人のうち二人が殺すべきだって言ってる」


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