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あと3話で完結ロワスレ

59reserve hunt ◆nucQuP5m3Y:2012/12/18(火) 03:21:02
そこにあったのは扉だ。
貴族の館にあるように華美で、銀行の金庫にあるように重厚で、巨人の城にあるように巨大で……そして、舞台の書き割りのように嘘臭い扉だ。
しかし、逆にその嘘臭さが、その扉の役割を際立たせている。
これはまさに舞台装置。開ければ終局へと向かう一つの切欠。
作られた終わりへの始まり――

扉の前に佇む人影のうちの一人、蝉は明らかに苛立っていた。
「扉があるなら開けるしかねえだろ。割らずに卵は食えねぇんだ」
その言葉とは裏腹に、彼は率先して扉に手をかけるようなことはしない。
自分達の誰かが開けてくれるのを待っているようだった。
あわよくば、そいつが自分の苛立ちにも答えを与えてくれるのではないか。
死んでしまった相棒の岩西の代わりに、この漠然とした気持ちに指向性を持たせてくれるのではないかと期待していた。
「だいたい……っんだよこれは!」
先ほどの言葉に誰も答えないことに更なる苛立ちを募らせ、手に持った武器に向かって悪態をつく。
彼の手にあるのは一本の果物ナイフだ。
このゲームが行われている島、その島に立ち並ぶ廃墟のひとつから見つけ出して、ずっとバッグにしまっていたものだ。
ナイフ使いの名手である蝉にとっては十分に凶器足りうるものではあるが、あくまでそれは一般人相手の話。
これではこれから挑もうとしている相手はおろか、ここにいる残り五人相手にすら心許ない、そんな攻撃力の装備品である。
「おかしいだろ!こんな、こんなイカれたゲームの、最後の最後まで残ったってのか?俺が?果物ナイフ一本でか?」
「だからそれは……」
その名の如く徐々に大きく響いてきた蝉の声に、思わず声をかけたのは黒兎春瓶だ。
「わーってるよ!」
しかし春瓶の言葉を遮るように蝉はさらに鳴く。
「消えてるんだろ!記憶も!人も!武器も!わかってんだよ!でもよ!」
「納得は……難しいわよね」
呟いたのはハクアだ。
彼女もまた、これから戦う相手を考えたら全く使い物にならないであろう、小型の爆弾一つを手の中で弄んでいる。
「んじゃ、どうするんだ?」
春菊の問いかけに答えるものはない。
ここまで来て、止めるという選択肢はない。
それなのに、ありはしないその選択肢に彼らがずっとカーソルを合わせ続けてしまっているのはひとえに戦力不足によるものだった。


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