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あと3話で完結ロワスレ

52メモリーズ・ロスト ◆6XQgLQ9rNg:2012/12/15(土) 23:44:33
「トトゥーリア・ヘルモルト」
 自我境界線の侵食が始まる。
 それは殊子にできる、今のトトリを救う唯一の方法だった。
「君は、生まれてからずっと――」
 たとえその行為が、トトリの精神を凌辱するものであったとしても。
「ずっと、ずっと、ずっと。独りぼっちで、生きてきた」
 たとえその強制催眠が、トトリのたいせつな『想い出』を奪うことになるのだとしても。
「独りぼっちで、生きてきたんだ」
 『想い出』に振り回され、現実を壊してしまうくらいならば。
「たいせつな人なんていなかった。大好きな人なんて、いなかった」
 一度捨ててしまった方が、救われると思えた。
「だから――」
 この催眠は、危険だと分かっていた。
 大切な人がいないということは、大好きな人がいないということは、トトリを、かつての殊子にしてしまいかねない。
 目覚まし<ハラハラ>時計に出会う前の殊子のように、世界を憎み呪い忌み嫌ってしまうかもしれない。
 けれど。
「だから、君は、何もなくしてはいないんだ。なくしてなんか、いないんだよ――」
 殊子は、思うのだ。
 トトリなら。
 悪夢の中で出会ったのに、こんなに綺麗な心を持つ女の子なら。
 きっと大丈夫だと、殊子は思うのだ。
 きっとこれから、たいせつな『想い出』を作っていけると、そう思うのだ。
 ぽん、と。
 懐中時計が弾けて。
 トトリが、嘘のように泣き止んで。
 速水殊子の身は、どさりと崩れ落ちたのだった。

 ――ごめんよ、みんな。私、追いつけそうにないや。
 
 眼を閉じたまま、仰向けに倒れ込んだ殊子が最期に感じたのは。
 頬に落ちる、涙の感触だった。

【速水殊子@レジンキャストミルク 死亡】

【トトゥーリア・ヘルモルト@トトリのアトリエ】
[状態]:記憶改変。独りぼっちでいきてきた
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ベアトリーチェ特製秘密バッグ(トトリが想い出を失ったため、アトリエに接続ができなくなった)


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