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あと3話で完結ロワスレ
504
:
◆MobiusZmZg
:2013/05/03(金) 17:18:14
「な――――」
「こういうのはないって思ってた顔だろうな。でも残念。俺はセクハラを、男にだってするんだぜぇ……」
濡れ女とは違って、俺は、お前に優しくする義理もないわけだしさ。
ある意味においては絶望的な言葉を耳朶に這わせて、修羅ノ介はムラクモの、剣を振るう右肩に額を預ける。
斬らないならまた負けるよ。その言葉のとおりに、武官は負け続けている。人間に価値はないと言い放つわりに他者を
『面白い』と評し、人の身を保って神に至ろうとする彼は、価値はないとした人間にこそ意味を求めてやまない。
ただひとりでは闘争など成り立たぬことを知悉しているがゆえに、ヒトとの繋がりを鏡面のごとく構築する、――。
九重ルツボ<死者>の余韻を超え藤林修羅ノ介<生者>自身の認識が芽吹きひらいて枝をなす。
神。かの者の存在を意識したものの想いを照り返す機能を願うヒトの過去に沈んでなお悲しまぬさまに心が灼ける。
――ふたりでいれば、寒くないね。
自身の裡にあるなにものも返さぬ男<無為の咎人>に相応しい言葉が思考の端へ浮かんだが、即座に叩き潰す。
それを言ってしまうには、フラグも好感度もイベントも足りていない。理合いだけに満ちた相手の抱えているだろう、
過去と名のついたブラックボックスに比すれば、わずかな言葉と時間で作った手筋はあまりに脆いものだ。
(でも、ヒトの敵愾心を煽るコイツは【人類の敵】だろうが、ジャームになれるようなヤツじゃない。
自分ひとりで完結出来て、相手の言動にタイミングよく応えて衝動を満たすだけの存在なら……塞とかいうヤツに、
前後不覚になるまで怒る理由なんかない。絆を持てないっていう存在なら、過去にだって執着出来ねえよ)
だのに「小賢しい」との評には、瞬速の抜刀どころか、四本貫手も軍靴による鋭い蹴り上げも乗りはしない。
いつの間にか適合させられた『愚者の黄金』とやらが大事なのか、やり過ごせると判断したか。――せめて、後者を
潰さねば、過去に逃れるムラクモを意識して繋ぎ止める修羅ノ介の側が彼の孤独に取り込まれかねなかった。
そうなればきっと、『貴方はそこにいていいのか』と男に問い続けたルツボのように死ぬしかなくなってしまう。
けして返らぬ熱情を抱き続ける自分が可哀想になってしまうか、熱情を注いだものへの憎しみにとらわれてしまう。
(ええい。死。死ぬ。そりゃあもう、都合よく家族を蘇らせる『モード』なんか使わないって言ったけどさ!)
こんな体になっても、こんな力を手にしても、それだけはいやだった。
忘我の果てに命を落とすなど、無意味などあり得ない書物を核としていなくとも認められない。鼻がぶつかりそうな
ほど近くにいる、無意味に、執着をあっさりと捨てて死ねるがあまりに無意味に生きることすら出来そうな男は吐き気が
するほどおぞましい。だからこそ相手にすがって体温を奪い鼓動を盗み、心を、聴き取ろうとしている。
それもきっと、事無草ではない『藤林修羅ノ介』の。ヒトのかたちを崩していながら常軌を逸することのかなわない
小市民の性だった。あるいは、世界から拾いあげた意味を喰らい刺激を受けて進化するものであるものの業だった。
外界に在るなにものかを理解出来ぬ責が自身にあるとして、それをも呑み込めるように――。
愛せるように、少年は思考を続ける。同時に自分が理解出来ないものを繋ぎ止めて記号になるまでしがみ、相手を
標本にしてしまうような行いにさえ快感をおぼえる事実を認識して、
「お前の得意分野に付き合う気はなかったけど、こういうのも立派に暴力だろ。
でもまぁ、意外と肌が気持ちいいしなんだか眠たくなる匂いがするから、冗談で済むまでに本題に入ろうか」
だからそれがなんなのだと、開き直って視線を上げた。
「正直言ってさぁ、俺、このままならお前を躊躇なく傷つけてやれると思うんだよ」
紙でいたからか『影』を扱うシンドロームに目覚めたからか、ともすれば内閉に向かいかねない自分自身の心持ちに
こそうんざりする。絶望のなかにあっておぼえる、不思議に停滞した安堵。死にも近いあの感覚を、もう二度と味わいたく
ないというのなら目の前にいる他者の、鏡写しのように赤い双眸を見なければならない。
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