[
板情報
|
カテゴリランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
1-
101-
201-
301-
401-
501-
601-
701-
この機能を使うにはJavaScriptを有効にしてください
|
あと3話で完結ロワスレ
446
:
300:ウソツキハッピーエンド
◆YOtBuxuP4U
:2013/04/10(水) 22:58:17
それでも、やり遂げると決めた。
自分たちの想いを遺すため――いいや、それだけじゃ、ない。
297話近く積み上げられた物語が、全て台無しにされたそのあと。
少し優しい顔で眠りにつかされた死体からは、なにもかもが奪われてしまっていた。
ある少年は良かれと思ってそうしたという。
人の死には付属する物語なんて、悲劇なんて喜劇なんて、英雄譚すら、邪魔なだけだと思ったという。
確かにそうなのかもしれない。
死はけして美談ではないのだから。
けれど――そうしてしまったら。物語を消してしまったら。
そこにあるのはただの「死」だ。
誰が死んでいても一様に同じ、代替の利く現象でしかない。
そんな死に、個性はない。
「だからあたしたちは、この物語を書く。死んだのが誰なのかを分からせるために」
「かけがえのない、たった一人の、わたしが、みんなが、一人一人が! 死んだんだって知らしめるために!」
「そのための、本当の物語が失われてしまったのなら――たとえ嘘であっても構いません」
「伝えたいのです。残したいのです」
「ただひたすらに――『みんなはちゃんとここにいた』って、伝えたいだけなんだ!」
もちろん少女たちは分かっている。それはそうあってほしいと言う願いでしかないということを。
嘘で作られた100人の登場人物の生き様は本当のものではけしてなく、
他人では100パーセント本人を再現することなんて、不可能だということを知っている。
だけれどそれがなんだというのだ?
不可能だからと言って筆を置くのか?
違う。
違うのだ。
例え願いでしかなくても――そう願おうとする気持ちは。
本物であってほしいと言う気持ちは、嘘をもうひとつの本物に、変えるのだ。
少女たちは書いて。
書いて。
書いて。
くだらない嘘を紡ぎ続けた。
20話が描かれて。
40話が描かれて。
第一放送が描かれて。
80話が描かれて、
100話が、200話が、
第三放送が、第五放送が……。
そして――50時間が経過して。
最後の禁止エリアが、指定される。
「「「「「……はは」」」」」
ぴぴぴぴと鳴り始めた首輪の警告音は、少しうるさいファンファーレだ。
「「「「「みんな、お疲れ様、そして・……」」」」」」
財部依真は。与次郎次葉は。鰐塚処理は。喜々津嬉々は。希望が丘水晶は。
クマだらけの目で力なく、それでもやりきったような笑みを浮かべ。
腱鞘炎になりかけの手でグーを作って、乾杯をするようにそれをぶつけ合って。
人生最後のガッツポーズを、した。
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板