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あと3話で完結ロワスレ

445300:ウソツキハッピーエンド ◆YOtBuxuP4U:2013/04/10(水) 22:56:21
 
 それは、0になった物語に存在しないはずの虚数を加える行為。
 ウソツキハッピーエンドへ向かうリレー遺書。
 死んでも何も残らないと思うなら、自分から何かを残してしまえばいい。
 しかもただ遺すだけじゃない。全力で自分たちをアピールできるものを遺せるのならそれをやるべきだ。
 そう考えた喜々津嬉々の提案は――この箱庭でつづられた物語の、そのシナリオを。

「わたしたちで。このバトルロワイアルを、捏造しちゃおうぜ?」

 二次創作、してしまうこと。

 ぞわりと空気が震えて、得体の知れない雰囲気が部屋を満たした。
 本気だった――喜々津嬉々のゴーグルの下の目が、本気だった。
 まったくネタでなく、本当に彼女は世界に嘘をつくつもりなのだ。
 もう誰も知らない36時間の空白を、言ったもん勝ちのシナリオで埋めるつもりなのだ。

 異常でも過負荷でもない「普通」の少女たちである自分たちが、主役になり。
 誰をも倒し、誰をも説き伏せ、誰もを思い通りにする――カミサマにでもなったみたいな。
 そんなシナリオ。
 ありえないことだ。
 ありえないことすぎて可笑しくなる。
 でも、54時間で出来ること。たった5人で出来ること。
 そしてなにより、空っぽになってしまった箱庭で、少女たちが抱えていた。
 提案された他の4人は――ごくりと唾を呑みこんで。

「ひ」

 硬直した顔で、一文字喉から絞り出せば……あとは雪崩のようだった。 

「――ひとつだけ、ルールを。――(中略)――でいいでありますね?」
「確認するまでもないよ、ワニちゃん。それは前提でやらなきゃ意味ないじゃん。
 だって、これってわたしたちのエゴでもあるし……『それだけじゃない』んだからさ」
「ウィ。では私は、細かい矛盾点が発生しないよう各所の管理と、繋ぎを。
 ワニちゃんはバトル、ジロちゃんは中二、タカちゃんは心理戦、ツッキーは頭脳戦でしょうか」
「おおさすがノゾミちゃん、いい役割分担。
 でも最後の方とかは合作するのもいいかもな。闇鍋みたいに取り合いじゃなくてみんなで」
「いいね! なんたってこれは――みんなで背負う、罪だからね」

 ある者は楽しそうに笑みを浮かべ、ある者は真剣に流れを考え始め。
 全員が喜々津嬉々の発案に、いたずらにしては大きすぎる罪に、ノータイムで同意した。

 そしてすぐ。
 闇鍋にどんな具を入れるか話し合ったときのように、思い思いにリレー遺書の案を出し。
 2時間かからずおおまかなあらすじを確定し。
 2時間ちょっとかけて参加者のデータを把握して。
 50時間を残したところで、少女たちは執筆の用意を完了させる。

 それぞれ目の前に白紙を用意、おのおのが書きやすいペンを手にし、
 中央には希望が丘水晶が管理する、
 現在位置表や参加者の各種データを集めたPC画面を表示。
 途中で休憩を挟むときのお供にどこからかスナックやジュースも持ってきた。
 添い遂げる準備は――万全だ。

「じゃあ……オープニングを、始めるよ」

 言い出しっぺの法則。喜々津嬉々がまず書き初めに着手した。
 続いて平行作業で他4人がそれぞれの登場話に移る。
 細かく分けられたプロットは合計にしておよそ300話。
 一話が短い手記形式とはいえ、創作に携わることなどなかった少女たちには難しい量だ。


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