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あと3話で完結ロワスレ

409剣士ロワ第300話「光」:2013/03/14(木) 00:24:02


 常闇の世界に一瞬だけ昇った、小さき太陽。その輝きは闇を払い、暗黒の太陽を翳らせた。
 相応と分かっていても、矢張りあまりにも重い犠牲を払って。
 ゼロは敢えて何も言わず、名前すらも呼ばず、1人の武者の死に様を見届けた。
 常闇の皇は本体をカラクリの中に収容したが、手を破壊され、暗黒の太陽と呼ぶべき威容も所々が融け、歪んでしまっている。
 勝機が訪れたことを悟ったゼロは、決して気を逸らせず、エックスから受け取った常闇の皇についてのデータを確認する。
 常闇の皇、ムーンミレニアモンには物理的な攻撃は通用しない。邪神の精神体が目に見える形になっているだけ、という特異な存在であるためだ。
 だが、どんな攻撃だろうと通用しないわけではない。ムーンミレニアモンと同格かそれ以上の神性を帯びた攻撃ならば、その刃は邪神の魂に届く。
 今、この場にそれを可能とするものは――3人、それぞれの手の中にある。
 すると、再び虚空に闇の一文字が現れ、世界は再び闇に呑まれた。
 そして、3人の脳裏に、言葉が直接現れる。
――お前は破壊者として造られた。破壊者として望まれた。破壊者として願われた。お前の存在意義は、破壊以外にあり得ない――
――力への執着から生じた嫉妬心で友を殺したようなお前のような凡人には、何も救えない、何も守れない。お前は英雄などになれはしない、一生を凡人として終えるのだ――
――お前の戦いは無意味だ。帰るべき世界には、守るべき民も、語り合う友も、倒すべき敵も、愛する人も、既にいない。待ち受けているのは、永遠の孤独だけ――
 つい先程まで囚われていた、絶望の世界がフラッシュバックする。周囲だけでなく、己の内にまで闇が浸食して来る。
 しかし3人の心には最早、一片の畏れも迷いも無かった。
「俺の力は、破壊する為のものなんかじゃない! 友を! 友が信じるものを! 守る為の力だぁぁ!!」
 ゼロの決意の言葉に応えるように三種の神器は輝きを放つ。
 炎の剣を振るい、自らの恐怖が形を成した老科学者の幻影を切り裂く。
「一つの道を究めようとすれば、必ず成功と失敗を問われる。しかし……その道を歩むことにこそ掛け替えのない価値があるのだと、仲間達が教えてくれた。だから……俺は自分の心を信じて、ただ只管、己の道を歩んでいく!」
 オキクルミの心に宿る本当の強さ、真の勇気に応えてクトネシリカと虎錠刀、そして虎燐魄は眩い光を放ち、闇の氷壁を砕き進むべき道を切り拓く。
「たとえ俺の帰りを待ってくれている人がいなくても、俺は、俺を信じてくれた仲間達の願いを叶える為に戦う! そして、闇に奪われた全てを……光ある世界とそこに生きる命を取り戻してみせる!」
 魂だけの存在となりながら自分を奮い立たせてくれたスダ・ドアカの仲間達の祈りを聞いたゼロガンダムに、もう孤独への恐怖は無い。
 闇を乗り越えた先の光、絶望の先の希望、来るべき未来を信じて、雷龍剣と雷の神剣を手に進み続ける。


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