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あと3話で完結ロワスレ

399剣士ロワ第300話「光」:2013/03/13(水) 23:58:46
 手も足も出ずに膝を屈し地を嘗めさせられ、今も恐らくはいつでも自分を殺せるであろう、闇の神。
 そんな存在を相手に、自分は戦えるのかという疑念が生じ、自信が揺らぐ。
 オキクルミの心の迷いを察してか、孫権が静かに語りかけて来た。
「オキクルミ、畏れるな。本当の強さを知り、真の勇気を持つ君達に、もう恐れるものはなにもない。自分の心を信じて進むんだ」
 言って、孫権は赤いマフラーをオキクルミに差し出した。
 孫権が父親から受け継いだという、彼の死後にオキクルミが引き取っていた遺品だ。
 孫権は信じているのだ。オキクルミの持つ力が常闇の皇を倒すために必要不可欠であり、オキクルミはそれを成し遂げられる侠なのだと。
「すまない、孫権。俺は、お前に助けられてばかりだ」
 礼の言葉を告げると同時にマフラーを受け取り、それを首に巻き付ける。
 心から、畏れも疑いも迷いも消える。
 オキクルミの心に満ちるのは、本当の強さ、真の勇気。
 暗黒の闇に決して負けない、夜闇を照らす優しき月の如き光。
「だからこそ、お前達の分も戦い抜いてみせる。俺の……そして、お前達の大切なものを守る為に」
 友から受け継いだ、友が気付かせてくれた、大切なものを胸に抱き、オキクルミは孫権と、彼と共に駆け付けてくれていた戦友達に決意の言葉を告げる。
 戦友達はオキクルミの言葉を聞くと何も言わずに頷き、何処かへと消えて行った。
「往こう、友よ。虎暁を継ぎし我が魂は、真の勇気を知る君と共に!」
 その言葉を最後に、孫権もまた光となって飛び去っていった。
 その先が何処かは、すぐに分かった。そこは、常闇の皇との決戦の場に他ならない。
 すると、クトネシリカが輝き、その刀身から虹が生まれ、闇の先へと続く道を作った。
 虹はカムイに於いては不吉の前兆とされ、忌み嫌われるものとしての側面も持つ。
 これが大いなる闇の盟主の下へと誘うものならば、これほど不吉なものはそうはあるまい。
 だが、今更そんな物に恐れを成すことなどない。
 オキクルミは碧眼の獣神へと転身し、景気付けにと力の限り吠えた。
 白虎の鎧を纏う気高き狼は、決戦の地へと続く虹の橋を力強く蹴って走った。








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