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あと3話で完結ロワスレ

396剣士ロワ第300話「光」:2013/03/13(水) 23:51:23






「……声?」
 倒れ伏したまま意識を失っていたゼロガンダムは、唐突な覚醒を迎えた。
 自発的な目覚めではない。誰かが、自分を呼んでいたのだ。
 しかし、周囲には誰もいない、何も無い。
 きっと、孤独に耐えかねた自分が生み出した幻聴だったのだと、ゼロガンダムは自嘲する。
 ――ゼロ……ゼロ……!――
「……違う。空耳なんかじゃない……!」
 ゼロは立ち上がり、周囲を見回し、耳を澄ます。しかし、誰もいないし、何も聞こえない。
 ならば、研ぎ澄ますべきはそれら以外の感覚。
 ゼロは目を閉じ、心を波打たぬ水面のように落ち着かせ、この世の全てに心を開くような感覚で待ち続けた。
 今度は、はっきりと聞こえて来た。
 自分の名を呼ぶ声、励ます声が。
「マーベット……父上……」
 ドゥームハイロウの発動によって消えてしまった仲間達、そしてアサルトバスターの姦計により自らの手で殺めてしまった父の、声が聞こえた、姿が見えた。
 直接目には見えず、耳には聞こえずとも、彼らの魂が確かに自分の傍に在るのだとゼロガンダムは気付いた。
 そして、その気付きに応じるかのように1人の竜騎士が、ゼロガンダムの目の前に現れた。
「ゼロマル!」
 アルフォースブイドラモンの、名前が長くて呼び辛いだろうからと教えてもらった彼の愛称を叫ぶように唱えて呼び掛ける。
 生前と変わらない、まるで犬のような人懐こい笑顔を浮かべて、アルフォースブイドラモンはゼロガンダムの呼び掛けに応えた。
「良かった。デス・クリスタルから抜け出せたんだね、ゼロ」
「デス・クリスタル……?」
 アルフォースブイドラモンの発した、聞き覚えの無い言葉をそのまま繰り返す。
 すると、アルフォースブイドラモンは険しい表情で頷いた。
「デジタルワールドに伝わる伝説の邪神……ムーンミレニアモンの、相手の心を甚振り殺す必殺技さ。奴は肉体を持たない精神体で、だからこそ他者の心を叩きのめして切り刻むことに長けている。そしてムーンミレニアモンこそ、別世界で常闇の皇と呼ばれるようになった、この殺し合いを仕組んだ全ての黒幕だ」
「つまり、今のは……幻覚、だったのか」
 聞き返して、すぐに返って来た解説に、その内容に困惑しながらも、ゼロガンダムは自分なりの解釈を口にする。
「正確には、今のまま迎えてしまうであろう来るべき未来の1つのヴィジョン……起こり得る、最悪の可能性さ」
 アルフォースブイドラモンが頷きながらも、ゼロガンダムの解釈を補足する。


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