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あと3話で完結ロワスレ
393
:
剣士ロワ第300話「光」
:2013/03/13(水) 23:38:12
「その心意気や良し。しかし、歪んだ鉄の剣では不足であろう」
洛陽宮殿の瓦礫を踏み締めながら、1人の剣士が歩み寄って来る。
見るまでも無く、声と気配だけでそれが何者かすぐに分かった。
「この剣は、トゥバンのイルランザー」
そして目の前の剣を見れば、否が応にも理解出来た。
あのトゥバン・サノオが死んだのだと。
そうなるだろうとは予感していた。だが、いざ事実として直面すると、俄かには信じ難かった。
「勝敗は決しなかった。だが、生死のみは別れてしまった」
すると、スプラウトの内心を察したのか、タクティモンはそのようなことを言った。そして、そのまま当たり前のようにスプラウトの隣に並び立った。
見ればタクティモンの兜が失われており、その中身が露出していた。スプラウトが感じていた通りその正体は、人間はおろか生物とは言い難いものだった。
だが、その姿を間近で見ても、不思議と不快感や嫌悪感を覚えない。
そうだ。タクティモンが常に自らを鞘として納めていた鋭利な刃のような狂気や怨念が、今は全く感じられないのだ。
「タクティモン……? 貴様、どういうつもりだ。まさか、今更こいつらに加勢するとでも」
「その心算で来た」
「なんだと!?」
逞鍛からの問いにタクティモンはあっさりと即答する。
これには問うた逞鍛のみならず、スプラウトも驚き、同時に疑念も湧いた。
「どういう心境の変化だ?」
「それは、後で話そう。スプラウト、時間を稼いでくれ。この奥義は、出すまでに練りが要る」
スプラウトからの問いにも碌に答えようとせず、タクティモンは話を先に進める。
しかしその声調はタクティモンらしくなく、戸惑っているような調子が混ざっていた。
策を弄しはするが、虚言の類で他人を陥れる男ではない。その点は信じられる。
過去、未だカイと行動を共にしていた時のことを思い出し、スプラウトはそれ以上の追及はやめた。
この男が力を貸してくれるというのなら、心強いことに違いは無い。
「時間は?」
「1分もあれば」
「良かろう。しくじるなよ」
最低限の言葉だけ交わして、スプラウトはドラゴンころしを棄ててイルランザーを握る。
かつて“輝ける聖剣”と謳われながら闇へと堕ちた自分が聖剣を握って戦うことに、運命の皮肉を感じる。だが、迷いは無い。
今は亡き仲間の為、今窮地に在る戦友の為、今こそ持てる力の全てを振るう時。
スプラウトが剣を構えるのに呼応して、ジェネラルジオングの攻撃が再開される。……いや、違う。
これから攻撃が始まる。
全身を駆け巡る悪寒に肌が粟立ち、冷や汗が流れる。
ジェネラルジオングの両手、それぞれの指に莫大な闇の力を充填した10の砲門が、スプラウトとタクティモンに向けられていた。
先程までは、ほんの遊びでしかなかったのだ。
これから始まるものこそジェネラルジオングの、常闇の皇の攻撃であり。
その一撃で、この戦いを終わらせるつもりだ。
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