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あと3話で完結ロワスレ

391剣士ロワ第300話「光」:2013/03/13(水) 23:31:38
 呆然と呟き、ふと、足元のレプリロイド達の残骸に目を遣る。
 どうやって壊したのか、どうやって壊れたのか、その全てを体が覚えていた。メモリーに記録されていた。
 覚えていないはずなのに、覚えている。やっていないはずなのに、やっていた。
 この現実が真実で、ゼロの実感や記憶が偽りだというのならば。
 俺は、一体なんなんだ!?
 声には出せなかった疑問に、メモリーの奥底に眠る影が答えた。
『そうだ、お前がやったのだ! よくやったぞ、ゼロ! わしの最高傑作よ!』
「黙れぇ! 俺は、俺は……!」
 目の前の惨状を褒め称える影の言葉に声を荒げて、否定しようとして、それ以上何も言葉が出て来なかった。
 何が違うというのだ。
 どうして否定できるのだ。この惨状を作り上げた張本人である自分が。
 ゼロの沈黙を意にも介さず、ゼロを最高傑作と呼ぶ老人は狂気を孕んだ声で叫び続ける。
『ライトの最高傑作、最後の遺産を基に造られた者達。その全てを、お前は凌駕した! よくやった、よくやったぞゼロ!』
 その言葉は、いよいよゼロを打ちのめした。
 全てのレプリロイドは、発掘されたエックスの構造やデータを参考に造られたと、ドクター・ケインから聞いたことがある。
 たった、それだけのことで。
 エックスを参考に誕生したという理由だけで。
 俺は、無数の同胞を破壊し尽くしたというのか!?
『お前こそ最強! 最強のロボットだ!』
 老人からの最大の賛辞を聞き届け、ゼロのボディが反応を示す。
 示す感情は、歓喜と愉悦。
「ワレハメシアナリ! ハハハハハ! ハァーッハッハッハッハッ!!」
 圧倒的にして絶対的な破壊者は、自らが成した破壊の痕跡を前に、高らかに笑った。笑い続けた。
 自らの存在意義を満たすという喜び、使命を為し遂げた達成感、破壊そのものに見出す愉悦に浸って。
 その狂気は、そのデータの中に押し込められたゼロの心を侵し、切り刻んでいく。

 俺は、この力で……もう、何も……! 壊したくなんか無いんだああああああああ!!

 ゼロの叫びは、何者にも届かず、己の内でのみ木霊し続けた。













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