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あと3話で完結ロワスレ

367リ・サンデーロワ第300話「リ・スタート」 ◆nucQuP5m3Y:2013/03/07(木) 02:56:40
「わかってると思うが……」
ふっ、と軽く息を吐いて、ゼクレアトルは世間話をするように軽い口調で語り出した。
「俺様はこのままお前らの敵として消える運命だ。あらゆる世界から脅威を呼び寄せて、お前らに差し向けるこの力を使いすぎて。あるいはお前らの誰かに殺されて、な」
生存者たちはそれに応えない。
全員が明らかなゼクレアトルの消耗には気づいていたし、終わりが近いことを感じていた。
それでもなお、気を緩めることは敗北に繋がると、この会話もまた罠ではないかと警戒を怠りはしなかった。
「さて……それはともかくとして、だ……なぁ、さっきお前たちが開放したあの世界。あのガシャポンみたいな玉。俺様の頭の上にも浮いてるこれ。なんて言うか知ってるか?」
「しらねぇよ!早く死ね!」
蝉の悪態を無視してゼクレアトルは笑う。
「これはな『宇宙の実』って言うんだ。実って言うくらいだ、樹に生るんだぜ、これ」
今度は蝉も沈黙で返す。
「それと、そこに倒れてる男、恋川な。そいつ、必殺技があるんだ。『慈愛斬り』っつってな、痛みを感じる間もなく相手を粉微塵に斬り刻むすげえ奴が」
沈黙。
ゼクレアトルが話しかける彼らには、ゼクレアトルの意図がわからない。
「質問だ、何で恋川はそれを使わなかった?『現時点で』アイツが使える最も強力な技なのに?」
「……もう、技を使えないほどに消耗なされていたからでしょう」
しばらくの沈黙に、返答なくば状況が進まないと判断して鉢かつぎが答える。
「なるほど、納得できる理由だ。だが、こうも考えられる」
ゼクレアトルは己の頭上に浮かぶ球を手にとって、言った。
「恋川はその技を『知らなかった』……俺様がこの球の名前を『知らなかった』ように」
「知らな……い?」
混乱。
今度はゼクレアトルの言葉の意味がわからない。
彼は言う。
恋川は自分の最も強い技を知らなかったと。
ゼクレアトルは己が司る頭上の世界の名称を知らなかったと。
「そうだ、知らなかった。俺様は今は『知っている』けどな……さて、賢い蝉、意味、わかるか?」
「ヒニク言いやがって!どーせバカだよ!」
大声を出して傷の痛みに体を折る蝉を愉快そうに見て、ゼクレアトルはこう続けた。


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