したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

あと3話で完結ロワスレ

333虫ロワ第99話 ◆XksB4AwhxU:2013/02/24(日) 00:21:25
腹をさすると、縫い合わされた跡があった。
ゴツゴツした塊が入っているようだが、不思議と異物感は感じない。
そして、全身をを動かしてみて気付いたのだが……
腹部以外のキズも、糸でくまなく縫合されていた。

「お前が手当してくれたのか……すまんな」
「人間のキズをそうやって手当したのは初めてだったんだけど、痒くなったりとかしてない?
 流石にその頭は……どうしようもなかったけど。でもね、アタシその顔も結構好きだよ?
 ……美味しそうで」
「ソデで口元を拭いながら言ったら、シャレにならんぞ……」
「シャレで言ったつもりじゃないからね。
 まあ、帰ったら腕の良い医者紹介してあげるから、それまでは我慢しな」
「帰るって、アンタの居た所にか?」
「言ったでしょ。責任取れって。それとも何?
 あんたアタシを『後家蜘蛛の黒谷ヤモメ』にする気?」
「う……」

幼少の頃に幼馴染のプロイと別れ、故郷を捨ててストリート・チルドレンとなってまで彼女を探し続けたティン。
残される者の苦しみは身にしみて知っている。
その場の勢いとはいえ子供まで設けてしまったヤマメの言葉を
無碍にはねつけることなど、彼には到底できない。
再開の目を見ないまま、風の噂で病死したと聞いた幼馴染に、心の中で許しを乞うた。

(プロイ、すまない……やっと出来た友も、皆死んじまった……これ以上孤独になるのは
 もう耐えられそうにない……だから……良いだろう?)

その時ティンの視界がかすみ、身体が大きく傾いた。
異変を察知したヤマメが叫ぶ。

「ティン!?」

第99話「コドク」


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板