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あと3話で完結ロワスレ
314
:
虫ロワ第98話「The half inch SPIRIT」
◆XksB4AwhxU
:2013/02/03(日) 22:57:01
「諦めてんじゃないわよ、バカ!」
ティンの頬を左手で張り倒す。死なせてたまるか。
ヤマメはまず2個の核鉄を取り出し、祈るように、
それこそ願掛けの賽銭を投入するようにティンの胴体の傷口に押し込んだ。
パピヨンから聞いた話によれば、この金属塊は武器になるだけでなく、傷を癒す力もあるらしい。
何でも、潰された心臓の代わりとして機能した例もあるとか。
これを損傷したティンの臓器の代わりにする。
先ほどの戦闘でバルキリー・スカート、アンシャッター・ブラザーフッドは両方とも破損したため、
核鉄に戻った後もひび割れてしまっている。どこまでその効果を発揮してくれるかはわからない。
が……ビキビキとティンの身体が虫に変化していく音は止んだ……気がする。
それでも症状はまだ予断を許さない。
脈が不安定で、呼吸もか細い。虫の息だ。
胸の中心を押さえつけて心臓を無理矢理動かし、口移しで息を吹き込む。
周囲が妖怪だらけの中で生きてきたヤマメ。妖怪に蘇生処置が必要な状況などまず無いのに、
正しい方法など知るはずもないが、風の噂で聞いた方法をがむしゃらに試した。
何回かそれを繰り返した所で、ヤマメは気付いた。
ティンの身体が異常に冷たい。氷のよう……まるで凍死寸前だ。
ヤマメは意を決し
「瘴気『原因不明の熱病』……!お願い、効いて……!」
何と、熱病をもたらす病原体を少しづつティンに送り出した。
冷えた身体は熱病で温めればいいという、至極単純な発想。
消耗しきったティンの身体に、更に病原体を送り込むのが危険なのは百も承知。
だが、虫の様に、冷血動物のように冷えきったティンの身体に触れていると
何とかして温めなければならないと、ヤマメはそう感じた。
「『俺には、もう何も無い』なんて、そんな寂しいこと言わないでよ……!
あたしと子供を置いて逝くなんて、そんな冷たいこと言わないでよ……!」
顔を涙と鼻水でぐちゃぐちゃにしながら、うろ覚えの蘇生行為を必死に続けるヤマメ。
その祈りは……その時、確かに、神に通じたのだった。
「今、何て言った……!?子供って……!」
「テ゛ィ゛ン゛〜〜〜〜〜〜!!」
ティンは遂に息を吹き返した。
だが、『子供』とは……!?
ようやく落ち着いたヤマメに、ティンは『子供』の意味を尋ねた。
ヤマメのデイパックから出てきたのは、プラスチックの直方体……昆虫飼育に使うケースだ。
その中には、糸に厳重に包まれ、さらに王蟲の漿液に浸された、野球ボール大の金色の玉が入っていた。
玉の中で何かの影が……動いたぞ!?
「あ、今ちょっと動いたよ!」
「まさか、子供ってこれの事か……!?」
「うん。あたしが3時間ほど前に産んだの」
「誰との子だ……?」
「しらばっくれないでよ。あの時アンタ、確かに『中』で出したでしょ……責任、取ってよね?」
ティンは再び意識を失った。
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