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あと3話で完結ロワスレ

313名無しロワイアル:2013/02/03(日) 22:55:37
「ってアンタ、それ……大丈夫なの?」

のんきに回想している場合ではない。
ティンのダメージが深刻だ。全身に切り傷・打撲を負っている。
特に『正拳突き』を受けた腹部のダメージは深刻だ。恐らく内蔵もただでは済んでいない。
だが最も致命的なのは……ティンの頭の輪郭を覆っていたキチン質の外骨格が
顔を侵食するかのように広がりだしていたことだ。

「やっぱり、こうなっちまったか……」

ティン他、虫の能力を組み込まれたバグズ手術の被験者は通常時、
手術の効果で相容れないはずのヒトと虫の肉体を共存させている。
だが、注射の効果で肉体が虫に近づいた状態が長く続きすぎると
ヒトの免疫機構の働きでショック症状を起こし、死に至る。
テラフォーマーたちや『小の字』との闘いで薬を使いすぎたことに加え、
肝臓および腎臓の一部を『小の字』の『正拳突き』で破壊されて
注射の成分を分解できなくなっていたティンの肉体のバランスは、歯止めなく虫に傾き続けていた。

「すまない……俺はもう戦えない。上には……お前一人で行け……
 あの姫サンとユピーを、助けてやってくれ……
 俺は、もう死んだことになってる人間だ……生きて帰っても
 居場所がない……大事なヒトも……皆死んじまった……
 俺には、もう何も無いんだ……
 こんな所に連れて来られたけど……
 アンタや、本郷さんみてえな奴らと出会えたのは、幸運だった……
 ……ヤマメ、お前は、生きて還るんだ……!」

ティンの呼吸が浅く、不規則になりだした。重度の免疫性ショックの症状だ。
ティンの頭部は、もう殆どバッタそのものになりつつあった。
複眼の中心の瞳と顔の傷に、わずかにヒトの面影を残すのみである。
そのままティンは天を仰ぎ、意識を失った。
ティンの『遺言』を聞いたヤマメ。……無性に腹が立った。


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