したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

あと3話で完結ロワスレ

298SLBR・289-a: 素晴らしき小さな戦争(Ⅰ) ◆MobiusZmZg:2013/02/02(土) 17:21:27
 そんなふうに思うからこそ、このせかいは間違っていると言わなきゃいけないのに。
 歪んでるんだって叫んで、嘆きに隠れたあかいものに気付いてもらわないといけない、のに。
 どうしてそれなら、舞い降りてくる雪は綺麗なんだろう。粛然と滅びを受け容れるさまが、こんなに美しいんだ。嘘だ。
嘘だよ。滅びさえ諦めて受け容れるのが本当に美しいなら、そう思うのが本当の気持ちだっていうんならせかいは。

 ほら、こうやってバラバラになるだけだから分かれよ。分かって――僕を、離せよ。
 こんな僕に未来を託して、信じてくれたひとの気持ちに応えていくには、これしかないんだから。
 お前だって先の救世主の血を引いてるんなら、こんなところでまで僕を叱っていくんじゃなくて、あの『鳥』の
空にも花を降らせて、ひとに近づいたあの人の心をなぐさめてくれ。それくらいはきっと、出来るだろ。
 やけっぱちの恨みつらみには、きっと誰も気付けない。だけど、かたちにすれば少しだけ楽になれたよ。
 それなら、いい。もういいんだ。だからこれで終わらせる。


 白梟。
 貴方がこのことを知らずとも、僕は構わない。
 春に芽吹くような花なんかで、貴方の心が鎮まるとも思えない。
 でも、どうせ貴方だって、勝手に僕のなにもかもを決めていったんですから。
 これから僕は剣を振るう。そうして貴方を、白の鳥をいっとき籠から解き放していく。
 せめて次の僕が生まれてくるときまでは、自由の身となった救世主を見ないでいいように。
 僕や玄冬、黒鷹、ヒトビト。せかいからの絶えることない問いかけへ、ひととき応えずにすむように。

 諦めるなんて赦さない。
 自分の言ったことが守れないのはとても、とても痛いけど。
 この時代にある白の鳥から離れると決めた、僕の自殺を貴方に捧げます。

 不断に続く遠いあすで、いつかまた出逢うまで。殺すことでしか救えない僕が示せる優しさのひとしずくを。



【花白@花帰葬 死亡】


.


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板