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あと3話で完結ロワスレ

280SLBR・289-a: 素晴らしき小さな戦争(Ⅰ) ◆MobiusZmZg:2013/02/02(土) 17:12:30
 ひとを嘲り踏みにじる意志に応じないのが、テトリスに出来る最大限の努力だった。
「つまり」それでも、黒い猫耳がひくつくことだけは止められない。「この世界が雪に埋もれる『時間切れ』を待つか、
相手方と死合って積極的に世界を滅ぼすか。ボクらには、そのどちらかを選べというわけだな」
「そ。でももう、時計の針がふた回りするまでに終わっちゃうと思うな」
 花白が剣を振るわない理由を知って、耳の内側に生えた白い毛までもがざわついた。

 時間切れ。
 世界が終わってしまうまでの猶予は1クォーター(約六時間)の、三分の一。
 常ならば迷宮の、ひとつの部屋への移動や罠などの探索、戦闘や休憩にかける時間にさえ満たない。

「……解ったんなら諦めなよ」
 残された時間と人数。遡行不可能な過去の出来事。
 誰も救わぬと決めたものは、みっつの要素を味方につけて「諦めたら楽になれるよ」と続けた。
 甘くすらある言葉でもって相手の戦意を雪に解かさんとする、彼はテトリスにかける憐憫の情を惜しまない。


「僕を終わらせるのは、絶対に、お前なんかじゃない」


 ただひとつ譲れなかったものだけを、自身のすべてで守りながら。
 玄冬によって終われずに在り続けている花白は、ゆえに空疎として雪の中たたずむ。
 一方で、答えられたはずの謎は答えられたために厳然たる真実となって、民なき者へと迫り来ていた。




 ◆◆


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