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あと3話で完結ロワスレ

224剣士ロワ第299話「ぶつかり合う魂」 ◆9DPBcJuJ5Q:2013/01/27(日) 00:32:28
 言葉を終えると同時、司馬懿は黒金の牙翼を振るう。かざした掌からは、闇の閃光が迸る。
 それらをかわし、3人はそれぞれに司馬懿に仕掛ける。だが、司馬懿が手を翳し闇の波動を放つだけで吹き飛ばされてしまう。
 しかし、オキクルミは四足の獣ならではの身軽さですぐさま体勢を立て直し、再び司馬懿へと襲いかかる。
 だが、牙と爪、背負った剣も司馬懿には届かない。
 それでもオキクルミの闘志は些かも衰えず、攻撃の合間に司馬懿へと言葉をぶつける。
「光の戦士と天の刃。その2つが揃って初めて、大いなる闇に対抗できる。……そうだな、司馬懿」
「宿命に抗う愚者の総称に過ぎぬ。……若虎から聞いていたか」
 司馬懿の推察に、オキクルミは無言の肯定を返す。
 孫権が死の間際に伝えてくれた、彼の世界に限らず、多くの世界で古から続く光と闇の宿命の戦い。
 それを聞かされた時から、オキクルミは光の戦士よりも尚稀有であるという天の刃の捜索に奔走したが、遂に見つけられずにいたと、そう思い込んでいた。
 だが、違ったのだ。オキクルミも気付かぬ内に、大いなる闇と戦う為の戦士達は集っていたのだ。
 例外は、外で戦っているトゥバンと、オキクルミぐらいのものだ。
「ならば俺の使命は、こいつらを無事に真の敵の下まで送り届けることだ」
 そうだ、強大な闇の力を振るう司馬懿との戦いですら前哨でしかない。
 この後に待ち受けているという闇の根源との戦いには、オキクルミ以外の3人の力は必要不可欠だ。
 故にオキクルミは、孫権たちを殺した自分がこの時まで生き延びたのはこの命の全てを懸けて、仲間達を決戦の舞台に送り届ける為だと考えていた。
「……愚かな」
 オキクルミの決死の覚悟を、嘲笑すらせず、司馬懿は冷酷に踏み躙る。
 再度放たれた天冥獄鳳斬は、溜めが無い為に威力が大幅に減少していたが、それでも人を殺すには十分な殺傷力を持ち、何よりも技の出が速かった。
 距離を取っていたゼロガンダムとスプラウトは辛うじて攻撃をかわしたが、オキクルミだけは避け損ねてしまい、痛烈な一撃を受けてしまった。
「オキクルミ!」
 高々と天井までかち上げられ、激突と同時に狼への変化も解けてしまう。オイナ族の仮面も、目元近くを残して砕け散った。クトネシリカは背に残ったが、虎錠刀だけは弾き飛ばされてしまう。
 司馬懿は闇の呪縛によりオキクルミを強引に引きずり降ろし、肉の盾とするかのようにゼロガンダムとスプラウトの前に突き出す。
 オキクルミは意識が朦朧としたまま、声を出すことも抵抗することもできない。
 2人が躊躇により動きを止めた一瞬を見逃さず、司馬懿は黒金の牙翼を握る手に力を込める。
「貴様如き地を這いずり回る犬畜生に、煉獄を往く鳳は落とせぬ」
 分も弁えず神々の戦いに関わった報いだと、そう言わんばかりに、黒金の牙翼がオキクルミの左手足を斬り落とした。
 オキクルミが苦痛の叫びを上げることすら許さず、司馬懿はついで右手足も斬り落そうとして、オキクルミのクトネシリカによって阻まれた。
 手足を失った痛みよりも、犬畜生呼ばわりされたまま犬死することだけは許せなかった。
 命ある限り戦い続けると誓っておきながら、無駄死にどころか、自らの死で仲間達を絶望に落として堪るものか。
 しかし、司馬懿はオキクルミが未だに抵抗する力を残していると見るや、宙から地面に叩き落とし、オキクルミが剣を振るえぬ状態でトドメを刺すことに切り替えた。


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