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あと3話で完結ロワスレ

221剣士ロワ第299話「ぶつかり合う魂」 ◆9DPBcJuJ5Q:2013/01/27(日) 00:23:22




 ゼロガンダムとオキクルミとスプラウトは、最初、司馬懿との戦いを優位に進めていた。
 自らを“天を熾す鵬”と称する司馬懿の力はその言葉に遜色せず、剣の腕前も一流の域にあった。だが、この3人を押し留めるには些か足りない。
 司馬懿の闇の呪縛をスプラウトの力によって振り払い、放たれた闇の閃光を狼の姿に転身しゼロガンダムを背に乗せたオキクルミが掻い潜り、ゼロガンダムが両手に構えた2振りの雷の剣を振るう。
 司馬懿は冥黒の牙と煉獄扇でそれを受け止めようとしたが、剣士としての力量差は如何ともし難くゼロガンダムによって易々と弾かれ、両方ともがそのまま天上に突き刺さってしまった。
 これを勝機と見て3人は一斉に斬りかかった。だが、司馬懿は余裕の表情を崩さなかった。
 3人の刃が司馬懿を捉えようとした、その瞬間。
 司馬懿の内から莫大な闇の瘴気が溢れ出て、同時に発生した衝撃波が3人を吹き飛ばした。
 3人は即座に体勢を立て直したが、そこへ10個の小さな暗黒の球体が出現し、縦横無尽に飛び回りながら闇の閃光を放ち、3人を撹乱する。
 やがて、闇の瘴気が晴れると――否、冥黒の牙と煉獄扇が一体化した黒金の牙翼が、暗黒瘴気を吸収しその刀身に宿らせていたのだ。
 異様な光景だった。暗黒瘴気を纏った黒金の牙翼は、正しく闇だった。黒金の牙翼のあるはずのそこは、一切の光が届か暗黒の空間と化していたのだ。
「天冥獄鳳斬!」
 それこそは、あらゆる光を飲み干し消滅させる闇の究極奥義。光によってその存在を現世に確立させるあらゆる物体・物質は、悉く無へと帰す。
 謂わば、斬撃の形へと凝縮された暗黒星雲【ブラックホール】そのものだ。
 3人は辛うじて直撃を免れたが、その余波だけで甚大なダメージを負ってしまった。
 その様子を、闇の神の力を具現化させ自らと一体化させ、異形の姿へと変化した司馬懿は睥睨する。
「見事。流石、この儀式を勝ち抜き生き残った類稀なる剣士達である。その心胆、技量、体術、全てが称賛に値しよう。よもや、早々に獄鳳の姿を晒すことになろうとは」
 ゆったりと、余裕を持った動作で3人を見回しながら、司馬懿は賛辞の言葉を贈る。その間にも、ファンネルによる追撃を容赦なく浴びせ、3人から反撃の芽を摘み取る。
 すっ、と左手を翳し、暗黒瘴気を迸らせる。再び闇の呪縛により、ゼロガンダムの動きを封じたのだ。
「ぐ……ぬ、ぐ……!」
 ゼロガンダムは闇の掌中で必死にもがくが、桁外れの闇の力を腕力だけで振り解くことは不可能だった。
 司馬懿は呪縛を更に締め上げ、ゼロガンダムから指一つ動かす自由さえも奪い取る。
「中でも一際に目を引くのは……貴様だ、雷龍剣の末裔よ。スダ・ドアカ十二神の一柱の力を継ぐだけのことはあるが、何より貴様は、忌まわしき黄金神からの加護を受け、時空を超越し闇と対峙する光の騎士団の称号までも賜わされようとしている」
 儀式の中で、仮初の世界を覆う闇の結界が一度だけ破られたことがある。烈火武者頑駄無が爆心の鎧を纏い命の全てを燃やして放った、爆界天衝によるものだ。
 お陰でよく育っていた闇の苗床や、闇の盟主として迎え入れようとしていた者達まで諸共に消滅させられてしまった。
 その時に結界に生じた一瞬の綻びを突いて、黄金神がこの儀式に対して干渉を行った。それこそが、ゼロガンダムのシャッフル騎士団への叙任に他ならない。
 常闇の皇により叙任の完遂は防げているが、黄金神の加護が未だにこの場に存在している事実は消えない。
 黄金神の力の欠片、黄金魂を自覚し発揮するよりも先に始末をしなければならない。


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