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あと3話で完結ロワスレ
218
:
剣士ロワ第299話「ぶつかり合う魂」
◆9DPBcJuJ5Q
:2013/01/27(日) 00:18:57
「くだらんな」
「なんだと?」
「くだらんと言った」
逞鍛の語った過去、それ故の絶望と怒りを理解した上で、ゼロはばっさりと切って捨てた。そして、毅然と逞鍛を睨み返す。
「お前の言っていることはよく分かる。俺のダチにも、昔のお前と同じような悩みを抱えている奴がいるからな。あいつはいつも、長く続かない平和を、何度終わらせても繰り返し引き起こされる戦いを、いつも悩んでいる。どうやったら戦いを終わらせることができるのか、どうやったら平和を守り続けることができるのか……とな。だからこそ断言できる。お前の絶望とやらはくだらないと!」
「人形風情が、減らず口を!!」
逞鍛が怒号を吐くが、怯みなどしない。絶対に負けられない理由と、勝たなければならない理由が増えた以上、これ以上守勢になど回らない。
逞鍛の二刀とゼロの炎の剣がぶつかり合い、激しく火花を散らす。
衛有吾や兄と同じ天翔狩人の称号を持つだけあり、逞鍛の空戦能力は極めて高い。
地上で待ち受け、落鳳破等の対空迎撃技によるカウンターを狙うのが上策だが、ゼロは敢えて飛燕脚と壁蹴りを用いて空戦に応じた。
逞鍛は刃斬武の姿の時に纏っていた鎧を追加武装として纏った高速戦闘形態となり、超高速の連撃でゼロを襲う。
だが逞鍛の攻撃は力の盾と霞の鎧の堅牢な守りによって悉く防がれ、足を狙った攻撃は壁蹴りと氷烈刃を駆使してかわされる。
そして、業を煮やした逞鍛が放った乾坤一擲の一撃に、ゼロは空円斬を合わせて迎え討つ。
縦一閃と縦回転の斬撃がぶつかり合い、ほぼ同等の力の相殺によって生じた反動の衝撃に合わせて、2人は宙を舞って距離を置く。
呼吸を整える間もおかず、ゼロは逞鍛へと問い掛ける。
「お前は民達が兄を裏切ったと、それが許せないと言ったな。なら、お前自身はどうだ」
「何を……!」
ゼロの問いに、逞鍛は明らかに動揺を露わした。怒りと、ほんの僅かな戸惑い。それを見抜いて、ゼロは更に問いを重ねる。
「今お前がやろうとしていることを知って、お前の兄貴は喜ぶのか!? お前は、今の自分自身を兄貴に誇れるのか!? お前自身が、誰よりも兄貴を裏切っているんじゃないのか!!」
まず返って来たのは刀だ。だが明らかに精彩を欠いた一撃をかわすのは容易であった。
二度、三度と繰り返し、たったそれだけで逞鍛は息を乱し、大きく肩を上下させていた。
本人は認めようとしないだろうが、何の事は無い。逞鍛もまた、下らないものだと切り捨てたはずの感情を捨て切れず、それを制御できずに暴走させてしまっていたのだ。
逞鍛は両腕をわなわなと震わせながら、しかし決して刀を手放そうとは、二刀の構えを崩そうとはしなかった。
「それでも、オレは……この道を突き進むと決めたのだ! 情を棄て、力を得て、戦いの終わらない世界を変える……戦いの無い世界に生まれ変わらせるのだと!」
逞鍛の双眸から、黒い涙が滂沱の如く溢れだす。体を伝う黒い涙は闇となり、逞鍛の体と二刀に絡みつく。
その体を震わせているのは、怒りなのか、憎しみなのか、悲しみなのか、ゼロには分からない。
涙を流せないものに、涙を流すほどの激情の如何なるかなど、分かるはずが無かった。
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