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あと3話で完結ロワスレ
213
:
剣士ロワ第299話「ぶつかり合う魂」
◆9DPBcJuJ5Q
:2013/01/27(日) 00:11:42
蛇鉄封神丸が、轟音と共に振るわれる。その一撃でまたも洛陽宮殿の一角が崩壊したが、その刃はトゥバンに届かない。
「おおっ!」
裂帛の気合と共に、トゥバンの手の中で白き龍の聖剣“イルランザー”が翻り、タクティモンの胴を狙う。だが、タクティモンはマントでその一撃をかわすまでも無く防ぎ切った。
トゥバン・サノオの渾身の力を込めた一撃を、マントとは到底思えぬ、森守の鎧と同等以上の強度の障壁によって阻まれた。これはディアブラスから委ねられたカガクの剣ではない。折れたか、毀れたか、或いは罅が――という不安から、タクティモンが態勢を僅かに崩している隙に一時間合いを取る。
イルランザーの刀身を見遣り、トゥバンは嘆息を漏らした。罅も刃毀れも無い、万全の状態のままだったのだ。これに、トゥバンは歓喜した。
トゥバンは旅の中で2度、これは、という名剣を名工から授かる機会があった。だが、1振りは土武者との戦いで、もう1振りはディアブラスとの戦いでボロボロになってしまった。たった1度の戦いで、トゥバン・サノオの本気に耐えられなかったのだ。例外は、古のカガクの業を用いて作られた剣のみだった。
この殺し合いの舞台でも、それは同様。木刀を含めて7振りの剣を手にしたが、どれもがトゥバンの力に耐えられず、途中で折れて毀れて曲がって朽ちて果てた。ニホントウにも善し悪しがあるのだと学べた点は貴重だったともいえるが、不満は募るのみ。
漸く手に入れた、折れず毀れず曲がらずの剣であった虎錠刀も、トゥバンとの相性は悪かった。だが、決戦に臨む少し前に出会ったオキクルミと、虎錠刀と引き換えに手に入れたこの剣――イルランザーは素晴らしかった。
刀身はやや長いが、トゥバンが最も扱い慣れた両刃剣であり、剣の強度も切れ味も申し分ない。何よりも、トゥバン・サノオの全力を受け止め、そして応えてくれるだけの名剣に巡り合えた。それが何よりの実感として、イルランザーを握る両手に宿っている。持ち手の傷を少しずつ癒す力もあるらしいが、そんなものはオマケのようなものだろう。
剣の状態を気に掛ける必要も無く、目の前の人外の魔人を斬ることに全神経を集中させることができる。これほどに喜ばしいことは無い。
離れた間合いのまま、タクティモンが構えを変えた。あの体勢は突きかと予想した直後、タクティモンは5メード以上離れていた間合いを一歩で詰めて来た。
「壱の太刀・鬼神突」
高速で放たれた打突だが、それだけではない。蛇鉄封神丸に闇の瘴気が暗黒の大蛇の姿となって纏わりついたのだ。これは、森守の放った光条と同じ。触れたら不味い。しかし、これは森守の光条に比べれば、遅い。
トゥバンはタクティモンの神速の踏み込みに対応し、蛇鉄封神丸にイルランザーを打ち込み、その切っ先をずらし、軌道を逸らした。だが、闇の瘴気が僅かに身体を掠めた。
森守の吐いた光条の余波とも違う、まるで身体を咀嚼されるような痛みを感じたが、それは一瞬で和らいだ。どういうことかと、咄嗟にイルランザーを見た。
まさか、これがイルランザーの持つ癒しの力だと言うのか。だとすれば、願っても無い。タクティモンと戦う上で最良の剣を手にしていた幸運を実感し、顔に浮かぶ笑みを深める。
タクティモンは一の太刀が凌がれたことにさして動揺も見せず、すぐさま次の一手を見せた。蛇鉄封神丸を振り上げ、そのままトゥバンにではなく床に――大地に叩きつけた。トゥバンは最小限の動きでそれをかわしたが、直後、本能に任せて更に後ろに跳んだ。
「参の太刀・天守閣」
大地が、突如として隆起した。タクティモンは大地を操る力をも持ち合わせていたのかと、恐怖が全身を刺激する。自然と、笑みも深くなる。
10メードほどで大地の隆起は収まり、すぐに崩落を始めた。足場崩しと攻撃を一体化させた、あまりにもスケールの大きい技だ。だが、大剣の切っ先を大地に突き刺すという大きな予備動作が必要な以上、そう簡単にはくらうまい。
否。そろそろ受けるのはやめて、こちらからも仕掛けようか。
▽
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