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あと3話で完結ロワスレ

197299:すべてが0になる ◆YOtBuxuP4U:2013/01/17(木) 15:25:47
 
「ふざけ――ふざけるなよ、球磨川禊!」

 怒髪天を突くようにして。不知火半纏はわけもわからず、
 おそらく彼の思惑通りに両手になんらかのオーラを発生させる。
 名称不明、安心院なじみの影武者として半纏が会得した「スキルを作るスキル」のお出ましだ。

「そうだ。嘘に決まっている。
 なぜならば、その行動指針であれば、お前はあまりにも失敗しすぎている!
 すでに94人死んだ。黒神めだかも獅子目言彦もだ。
 本当になじみを納得させたいのなら、彼女が思い通りにできない/できなかったこの二人を、
 死んでも生き残らせなければならないはずだ!
 そうして、ほら思い通りにいかないだろうと笑ってやるべきだった!
 なのに二人は死に! なじみも死に――お前は図々しく生き残っている!
 結局は、自分が可愛いだけなんだろう! 醜く生き残りたかっただけなんだろう!」
『――そうさ。僕は球磨川禊だからね。大失敗の負け続けさ。
 ホントは全員生き残らせるつもりだったのに、たった五人しか救えなかった無能人間だ。
 いつまで経ってもやりたいことが出来ずに、それを自分のせいにも出来ない、失格人間だ。
 それでもとりあえず、ベストじゃないけど、ベターだよ。今の状況はね』
「もういい。お前の戯言を聞くのはもういい――なじみへの弔いにもならない。
 “ここに来た”ということは。最初からこういうつもりだったんだろう、球磨川!」

 地面を蹴って不知火半纏は駆ける。
 光るオーラを放つ両手を――スキルを作るスキルを球磨川禊に当てるために。

『ああ、不知火半纏。僕は最初からそのつもりだったんだ。
 ――君を倒してバトルロワイアルから逃げ切るつもりだったのさ。うん、それだそれだ。
 しかし難しいだろうなあ。
 君の「スキルを作るスキル」は矛盾しないテーマのスキルであれば何であろうと実現する。
 言い換えれば僕の正反対だ。『なかったことにする』に対する、「あったことにできる」スキル』
「……今からお前の身体にこれを当てる!
 そして球磨川禊、“お前を殺すスキル”を作り出す!
 『なかったこと』にできるならしてみるがいい。俺はそうさせないスキルを作る。可能性はゼロだ」
『っははは、可能性はゼロ、か。
 僕はゼロよりマイナスのほうが好きだぜ、影武者君。
 ん、じゃあ僕はその0パーセントをマイナス100パーセントにしてみせよう。
 かかってきな、不知火半纏。――――――――後悔しないように、全力でさ』

 不知火半纏の「あったことにできる」スキル。+の∞。
 球磨川禊の『なかったことにする』マイナス。−の∞。
 誰が意図したのか。どうしてそうなってしまうのか。
 無風の時計塔の頂上、最終局面の最期に行われたのは、あまりにも簡単でかつ大規模な足し算だった。

「――――がああああああああ!!」
『――――あはははははははは!!』

 ∞+(−∞)=0。

 そしてすべてが、ゼロになった。


【マーダー・球磨川禊――消滅】
【主催者・不知火半纏――消滅】


 かくしてバトルロワイアルの真実を知る者は全員消えて。
 全ては、『なかったことに』――――――なった、の、だが。


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