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あと3話で完結ロワスレ
193
:
299:すべてが0になる
◆YOtBuxuP4U
:2013/01/17(木) 15:17:53
「理由もなしにやったのならばさらに最悪だと言っておこう。
お前のせいでなじみは死んだ。お前がすべてを台無しにしたせいで」
いっそう鋭く瞳をとがらせ、不知火半纏は球磨川禊の方へ一歩足を踏み出す。
彼の周りの大気がびりびりと震えている。
それが裁きのスキル《地震雷雷雷(サードサンダー)》の発動の前触れであることを知る者はいない。
不知火半纏がたったさっき作ったばかりのスキルだからだ。
「なじみはお前を信じてたんだ、球磨川禊。
大嘘吐き(オールフィクション)を弱体化させずとも、お前はここではそれを使わないだろうと。
使うとしても目的なしにだと――こんなに大々的に物語を壊すような真似はしないと言っていた」
『へぇ、そうなんだ。僕みたいなのを信じるだなんて、安心院さんも耄碌したものだね』
「まったくだな。俺も何度も忠告したのになじみは聞かなかったよ。
おかげでめちゃくちゃだ、何もかも崩れて、歪んで、治らない――壊れたルービックキューブだ」
『詩的な言い回しをするじゃないか。でもどうやらその口ぶりだと、分かってないみたいだね』
「なにをだ」
『安心院さんが死んだのは君の所為だってことを、さ』
不知火半纏は――球磨川禊に手を翳した。
「《地震雷雷雷(サードサンダー)》!」
――彼が作成したスキル《地震雷雷雷(サードサンダー)》は裁きのスキルである。
その効力は至極単純、「罪悪感を操る」ただそれだけだ。
人の心に生まれた罪悪感を増幅させ、心を揺らし、雷を落とし、落とし、落とすスキル。
球磨川禊に対して使うスキルとしては一見最悪の選択に思える。
だが、だからこその裁き(ジャッジメント)だ。
(ひたすらバトルロワイアルを邪魔し続け。死者から傷を奪い全てをうやむやにし、
挙句の果てになじみの死を俺のせいにするという所業。
悪意のもとにやったのであれば。それにどうしても付随する罪悪感、無限に増幅して心を壊す。
悪しき心無しに――無邪気にやったのであれば。
その純粋悪な精神、どちらにせよ生かしてはおかない。他のスキルで叩き潰す)
球磨川禊はよく言う。格好つけた言葉、括弧つけた言葉で、
『僕は悪くない』と。
不知火半纏にとって《地震雷雷雷(サードサンダー)》はそんな球磨川の精神を量るスキルだった。
行動の理由を強制的に測るスキルだった。
神になったつもりではないが、不知火半纏は球磨川禊の真意が知りたかったのだ。
嘘に嘘を重ねて、本当のことはめったに口走らない。
あえてそう振る舞っているともとれる彼の、真意。どうしてこんなことをした?
「どうして――どうしてこんなことをしたんだ!」
『どうして?』
不知火半纏の手から放たれた裁きの雷を前に微動だにせず。
球磨川禊はカッコつけた表情で、彼の問いに答える。
『しょうがないなあ、教えてあげるよ――。
僕がやったことは全部。悪意でも、無邪気でもない。――良心からだ。よかれと思って、やったのさ」
雷が球磨川禊を打った。
球磨川禊は、倒れなかった。
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