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あと3話で完結ロワスレ

19298話:風の止む時  ◆Wue.BM1z3Y:2012/12/11(火) 12:13:57
――志は一つのはずだった。
首輪は外せていないが、カーバンクルが命の終わりに放った真紅の輝きに守られ、もはや爆破される心配はない。
『無の力』というタイムリミットは迫っているが、階段を駆け上がれば、僅か数分で忌々しい主催者と対面できる。
……そのはず、だった。

「何をしているんですか! バッツさん!」
荒れ狂う氷の刃を炎の盾で受け止めたチャモロが、悲痛な叫びを上げる。
「血迷ったか……!」
竜の本性を曝け出すほどに満身創痍の身でありながら、リュウはマリアとライトを庇って前に出る。
だが、バッツと呼ばれた青年は、静かに答えた。
「悪いな、みんな。俺は最初から一人で生き残るつもりだったんだ」
朗らかなはずの笑みを暗く歪め、左腕で凍てつく切っ先をかざす。
蒼く輝く氷の刃は、彼の魂を示すかのように、血の色に染まっていた
そして、彼の視線の先にあるのは――リュウの盟友たる、ロトの勇者。
「ロラン……お前が殺したレナを生き返らせるためになあッ!」

交錯は、一瞬だった。
仲間達が制止の手を伸ばすよりも早く、殺意を纏った風が奔り。
けれども、片腕を失い威力を欠いたその一閃は、勇者が持つ細身の剣で容易く防がれる。
そして返す刃が、隼の飛翔のように舞い――青年の心臓を、狙い違わず貫いた。


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