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あと3話で完結ロワスレ
154
:
298:シニカル(白に還る)
◆YOtBuxuP4U
:2013/01/10(木) 04:38:56
与次郎次葉がそれに続く。
時計台の針は六時を差していた。開始時間から半日――?
いや違う。一日と半日だ。36時間の間、ずっと群像劇は続けられていた。
そして安心院なじみが最も恐れていた黒神めだかは、死んだ。これは事実だ。
「でもきっと、安心院さんは読み損ねてたんだ。
バトルロワイアル……命の奪い合いなんて設定は、あの人を活かしてしまうことを。
勝者と敗者の境界線が曖昧になってしまうこの空間では、負け続けるあの人が活躍できてしまうことを」
喜々津嬉々は下を向く。
確認できた遺体は94体。参加した100人からこの数を引いて、生き残っているのはたった6人だ。
そしてそのうち5人はここにいる。
開始からいままでずっと、誰も立ち寄ることない奥の奥の仮眠室で眠り続けていた。
いや、眠らされ続けていた。
おそらくは――全てが終わった後の最後の語り部として、使うために。
あの男は、混沌よりも這い寄るマイナスは、わたしたち五人に白羽の釘を立てた。
「さっきの放送の安心院さんは、非常に面倒そうな声のトーンをしていまシタ。
機械的に理由を考えてみたのですが……やはり、黒神めだかが、人吉善吉が、
そしてあの強そうな大男が――圧倒的なまでに粗雑に、
つまらなく、面白くなく死んでしまったのではないかと予測しマス。あの人のせいで」
希望が丘水晶は上を見る。
彼女の機械的な目と耳は時計塔の屋上、空気がわずかに震えているのを観測していた。
正確なところまでは分からないが、それは九割九分九厘の確率で、
人の身体の動きや、声の振動からくるものだ。つまり残りの生者はあそこにいる。
「それだけじゃないであります。死んだ事実を変えないまま、あの男は死体から傷だけを、
『なかったことにした』。これじゃあ何があったのか、何でみんなが死んだのか、
推測することさえままならないであります――まるで、最終ページ以外を破り捨てた物語!」
鰐塚処理は、険しく比喩した。
そうだ。これは297話近く積み上げられた物語を、全て台無しにしたかのような状態だ。
死体は全て優しい表情で寝ていた。
でも彼らはきっと恐怖したはずだ。きっと覚悟したはずだ。
きっと涙も流したはずだ。きっと寂しさに狂いもしたはずだ。
勇気に満ち満ちた表情もしただろうし、安堵だってしただろう。
シニカルに笑ったことも、おそらくきっとあっただろう。
あの男はそれを奪った。
彼ら彼女らの物語を全てプレーンな白紙に戻した。
人の死から、過程を奪って――――ただそこで死んでいるだけの死体にしてしまった。
彼女らにとっての裸エプロン先輩。
負完全、球磨川禊は。
ここに――ここに確かにあったはずのバトルロワイアルを、『なかったこと』にしようとしている!
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