したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

あと3話で完結ロワスレ

130299話「裏」 ◆nucQuP5m3Y:2013/01/04(金) 03:00:54
「いいわ、ほんといいわお前ら、最高だ!!じゃあ、あと二人も当然、魅せてくれるんだよな!?」
配下を蹴散らされたことなど微塵もくやしくないかのように、満足げに微笑んでゼクレアトルは霊幻と鉢かつぎを見つめ、指を鳴らす。
その音が響くと、今度は空中に波紋が現れ、何かの形を映し、徐々にそれが実体となっていく。
その波紋が収まった時、そこに現れたのは先ほどまでの「バケモノ」や「蟲」とは全くデザインの違う、どこかおもちゃのような直線と曲線で出来た生物。その名を世界鬼といった。
本来であれば幻想の世界にのみ現れるそれには、呼び出したゼクレアトル自身が少し驚いていた。
「なんでもござれ、か。ラスボスらしい能力だ」
己に与えられた力に自嘲気味に笑うと、世界鬼はすでに鉢かつぎに向けて走り出していた。
「私は……約束しました」
鉢で隠された眼光は、確かに世界鬼を捕らえている。
飛び上がり、先ほどまで"消失していた右腕"を真っ直ぐに振り下ろした。
「世界を取り戻すこと!そして、この話を正すことを!江戸川コナン様に!!」
彼女がこのゲームの中で出会った、聡明な少年からメモを託されたのは第二回の定時放送の後のことだった。
メタ漫画というヒントを得ていた霊幻とは全く違う、提示されていた材料から組み上げられた推理によって、この世界のからくりに気づいたコナンによって、そのメモは残された。
自身が死ねば自分が書いたメモは消えうせる。その仕組みに対応すべく、話の要点を鉢かつぎに筆記させ、残した。
彼はおそらく、戦闘能力では他の参加者に劣る自分の死すら、推理してしまっていた。しかし、だからこそ、今のこの状況がある。
鉢かつぎにより消失(デスアピア)のシステムを理解したコナンは、このゲームの消失(デスアピア)がそれとは異なる事に気づいた。
そこから導き出した「世界は隔離されただけである」との回答と、「世界を取り戻せ」の方針。そして、鉢かつぎが持つ月光条例執行者の証「極印」による、次元超越の可能性。
誰かに書かされた文面だけで確証の持てない鉢かつぎが、世界奪還の瞬間まで信じ続けていた『思い出せない彼』の姿が、今ははっきりと脳裏に浮かんでいた。
「そして!!良守様にも!!」
叫びと共に横に薙いだ右腕は、彼女のものではない。
人のものでもない。
それは人形、オートマータを壊しつくすため生み出された人形、オリンピアの腕が融合するように鉢かつぎの右腕を補っていた。
墨村良守より託されたその腕で、縦に裂かれた世界鬼の半身をホールの奥へと吹き飛ばした。
「ゼクレアトル、貴方は、月打(ムーンストラック)されているのですか?」
全てを思い出した今、それは当然の疑問だった。
これが物語であるならば、青き月光によって捻じ曲げられているのなら、主催者を名乗るゼクレアトルが月打(ムーンストラック)によって狂っている。
その可能性を考えないわけにはいかない。
「それは『月光条例』の世界観だな。残念だが、俺はその世界の住人じゃねえ。されたくてもできねえ」
しかし、ゼクレアトルの答えは、きちんとフラグを潰しておくことの大事さを説くような、はっきりとして簡潔な否定だった。
「それでも……捻じ曲げられた物語は……猛き月光にて、正さねばなりません!!」
頭に乗った鉢は、それでも下を向くことはない。
今は彼女の右手であるオリンピアの腕の、その手の甲には三日月のような極印が輝いていた。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板