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あと3話で完結ロワスレ

128299話「裏」 ◆nucQuP5m3Y:2013/01/04(金) 03:00:18
「ああ……そうかよ……それは、いいわ、すごくイイ」
ゼクレアトルは己の攻撃が無傷で防がれたというのに、むしろ嬉しそうに微笑んで、両手を地面にかざす。
「じゃあ次はこれだ……かっこよくあしらって見せろ!」
ぼんやりとその手が光ると、地面からボコボコと何かが湧き出すように泡立ち、その泡の海から次々と生まれ出てくるものがある。
「妖怪と……ケッ、蟲かよ!面白くもねぇ」
恋川春菊が毒づく。
彼らが普段対峙し、退治している、人を襲う巨大な蟲と、見るからに生命の理から外れている異形のバケモノが次々と形を成して、五人へと向かってくる。バケモノ達は出自もデザインもバラバラで、あらゆる世界から喚び出されているという印象だったが、そのどれもが間違いなく敵意を持って生存者たちへと向かっていた。
「なめられたものよね!」
それを後ろから切りつける影。先ほどまでガシャポンの側にいたハクアだ。
手には大きな鎌を持っている。が、それは彼女が本来持っている新地獄の悪魔のものではない。
この島で出会った死神、彼女たち新地獄の悪魔とは異なった地獄の使者の持ち物。
六道りんねから譲り受けた死神の鎌が蟲の一匹に振るわれ、醜悪なその容貌を細切れの肉片へと変えていく。
「おいおい嬢ちゃん、俺の分も残してくれよ!」
慣れない奉行所の面子であればてこずるであろう中型の蟲を事も無げに刻んだハクアに、手にした酒瓶を呷って嬉しそうに恋川は言い放つ。
「じゃあ、俺は見知った顔じゃないほうを……」


斬斬斬斬斬
両手に持った二振りの妖刀が風と共に片手に余るほどのバケモノを一瞬で切り刻む。
切り口は滑らかで、固い皮膚を持つバケモノも、軟体で斬り難いであろうバケモノも、一様に格子状のラインが刻まれ、そこからサイコロステーキのようにバラバラになって行った。
恋川の手にある一本は風神を宿した、その名も風神剣、もう一本は魔導具「磁双刀」が一方、N刀。
二千を超える人を斬ることで極められた、ボロ刀や笹の葉ですら敵を切り裂く恋川の技量だ。これほどの刀を使うならばもはや豆腐を切るよりも容易い芸当である。
「っと、一匹行ったぞ兄ちゃん」
だから、おそらくその斬り漏らしは偶然ではなく故意だったろう。


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