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あと3話で完結ロワスレ

123299話「裏」 ◆nucQuP5m3Y:2013/01/04(金) 02:58:16
「そうだな……ここまで来たわけだし、教えてやってもいいぞ」
ゼクレアトルは宙に浮いたまま緩やかに八の字を描くように揺れる。
退屈な電話をしているときに指でする仕草をその小さな全身でするように、ゆっくりと。
「最初にお前達に消失(デスアピア)の話をした時に言ったよな。『お前の世界の参加者が全員死んだら、その世界は消える』って。んじゃあ、これは何だと思う?」
ゼクレアトルは自分の後方を指差す。そこには巨大なガシャポンの器械のような器がそびえていた。
幅の広い台座に乗った、上部の透明な球体の中にはゼクレアトルが頭の上に浮かべているのと同じ、惑星に似た球体がぎゅうぎゅうと詰め込まれている。
「あれが『世界』だ。お前達、漫画のキャラクターが存在しているそれぞれの世界。このゲームに参加した者全ての世界が、あの中に詰まってる」
「ハァ?漫画の……?」
蝉がそのガシャポンを睨みつける。
よく見れば球体は一つ一つがうねるように模様を変えながらそこに在った。
うねりの一つ一つが水であり、空気であり、人であり、社会であり、営みであり、そこに渦巻いているものを全てまとめて呼ぶのならば、やはりそれは「世界」としか言いようのない球に見えた。
超常的なものには懐疑的な蝉にすらそう見える代物である、むしろ超常の側にいる他の者には当然のように感じ取れているだろう。
紛れもない、あれが「セカイ」だ、と。
誰かが唾を飲み込む音が聞こえた。
「つまりよ、お前はこう言いたいわけか」
手にした果物ナイフを握りなおし、蝉がゼクレアトルを睨みつける。
「俺らも、あんなちっぽけな球っころの中に収まっちまうような、漫画の登場人物だって言うのかよ!!」
「そうだ。お前たちが生きていた世界とはこのあの球体と同じもので、お前達が生きていた人生とは漫画のシナリオの一部ってことだ」
「でも、でもよ!!」
言い聞かせるようなゼクレアトルの言葉に、蝉は駄々をこねる子供のように苛立ちを振りまいて――そして、
「そんなことは、とっくに知ってるんだよ!!」
笑った。


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