[
板情報
|
カテゴリランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
1-
101-
201-
301-
401-
501-
601-
701-
この機能を使うにはJavaScriptを有効にしてください
|
あと3話で完結ロワスレ
104
:
Memoria Memoria -想い出を求めて-
◆6XQgLQ9rNg
:2013/01/02(水) 19:23:58
◆◆
胸を掻き毟られるような不愉快さを感じる。喉が疼くように乾燥する。心がささくれ立ち、余裕を保てない。
諦観に支配されず抵抗を繰り返す奴らを前に、ベアトリーチェが抱くのは苛立ちだった。
無様に立ち上がるのはいい。醜く抗うのも構わない。その感情と意志は死の瞬間に『想い出』となり、創世の糧となる。
それだけなら、不遜に嗤ってやればよいのだ。
劣勢となったわけではない。それでも、ベアトリーチェは舌打ちを堪えずにいられない。
愚図なニンゲンどもを叩き伏せているというのに、何一つ面白くなかった。
原因は、明瞭だ。
ベアトリーチェという敵を前にしているにも関わらず、奴らの意志はこちらへと向いてはいない。
彼らは、ずっと。
役立たずの影<シャドウ>を、ひたすらに気に掛けているのだ。
気に入らない。
本当に気に入らない。
どうして、あいつは。
影<シャドウ>は、こんなに愛されているのだ。
理解できない。考えられない。
だってあいつは影<シャドウ>なのだ。抑圧された人の欲望や本心が集まって生まれた化物なのだ。
どれだけ愛されたいと願っても、受け入れられたいと望んでも、居場所が与えられてはならないのだ。
そうでなくてはならない。そうであるに決まっている。
だって。だって。
――わたしの声は、いつだって届かなかったッ!
何度だって手を伸ばした。数え切れないほど呼びかけた。
居場所を求め、愛されたいと願い、想い出に残りたいと望んでいた。
けれどそのたびに温もりは忘れられ、言葉は弾ける泡と化した。
どれだけ呼びかけても、手を伸ばしても。
現実<ファルガイア>を生きる人々には、届かなかった。夢の中の出来事は忘却され、時の流れに押し流されていった。
人々の『想い出』に、ベアトリーチェは残らなかった。
それでも諦めなかった。諦めたくはなかった。
だから、ずっと繰り返してきた。
人々が夢を見るようになってからずっと、悠久の時の中で繰り返してきた。
その時間は、あまりにも永過ぎた。星の数にも匹敵する反復は、ベアトリーチェの心を摩耗させた。
いつからか、ベアトリーチェの目的は変わっていた。
それはすなわち、現実<ファルガイア>を破壊した後の、創世。
やることは変わらない。ただし、新世界への憧れが、ベアトリーチェの支えとなった。
呼びかける。
手を伸ばす。
呼びかける。
手を伸ばす。
呼びかける。
手を伸ばす。
呼びかける。
手を伸ばす。
そうやって、同じように繰り返して。
ベアトリーチェの存在がラミアムに届いた時はもう、すべてが遅かったのだった。
――なのにどうしてッ! どうして、あいつはッ!!
聞きたくない。
あいつを呼ぶ声なんて、聞きたくない。
ここは夢<ベアトリーチェ>の世界。
なんでも思い通りになるはずの、夢<ベアトリーチェ>の王国。
そんな場所で、こいつらは、シャドウ風情のことばかりを気に掛け、ベアトリーチェを蔑ろにしている。
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板