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ファンタジーロボット大戦避難所

335飛陽 ◆fLgCCzruk2:2010/11/07(日) 21:39:09
時を遡ること飛陽が自ら2両目を破壊する少し前のことである。上空のシュバリエが愉悦に浸っている間に
それは起こった。

「飛陽、この基地の者たちは今、我々の手中にある!」
通信機越しに聞こえてきた声は歩兵たちのもの。状況を理解しきれずただ自分たちの身が危うい
事だけが唯一確かなことだった。そしてそれ故に今、残った者たちを人質に取りこの場を凌ごうとしていた。

「あいつら、逃げ出したとばっかり思ってたのに、状況が見えてないのか!」
「割れさすのが一番いいと思ったんでござるが、これは拙者の判断ミスでござるな。これが一番
周りへの危害を抑えられると思ったんでござるが、所詮は敗残兵でござる」

通信機の向こうではなおも降伏しなければ彼らの命はないだの、自分たちの要求を聞けだの見当違いな
事を言っている。ここにいる人間は全て飛陽のモノである。少なくとも飛陽はそう思っている。

言い換えればここの人間は飛陽がいなければ生きられないのだ。この機械はそういう人間を見繕って
ここまで連れて来たのだ。ジェームズやここで育った子供たちを除いては。

「忙しいから手短に済ませてやるでござる。よく聞くでござるよ」
「あ、ああ、人質が大事なら、おとなしくするんだな、お前が作った街なんだろう、だったら」
「好きにしろでござる」

言葉を遮って無造作に渡されたのは呆気無くそれだけに冷たいものだった。聞き返してくるが無視する。
「ここにいるのはそれぞれ後は死ぬだけだった連中でござる。客の取れない娼婦、競争に敗れた技術者、
戦火に焼け出された難民、そしてお主達、裏切り者の末路なんて一つでござる。そしてそんな連中はこの
ご時世いくらでもいるんでござるよ。嘘だと思うなら、自分たちの顔と人質の顔を見比べるんでござるな、
違いが見つからないはずでござるよ、そいじゃ」

「ま、まて、待ってくれ!」
無視して通信を切ると砲撃の準備に移る。ジェームズから抗議の声が挙がる。当然と言えばそうかも知れない。
「飛陽君、今のはどういうつもりだい!あんな煽り方すれば、彼は本当にやるかも知れないんだぞ!
君は街の人が大事じゃなかったのかい!」

「好ましくはあったが重要ではないでござる。それだけでござる」「それだけって」
「皆が皆お前みたいにそれなりな生き様してるわけじゃないでござる、だから皆はお前を希望みたいに
好んだ。故に拙者はお前を嫌った。」

「そんな、そんな大げさな」
今まで自分に接してきてくれた人々の内側を教えられてもジェームズは信じなかった。この街ではと機械が言う。
「拙者が死ねば誰も生きてはおれぬ身よ、ただお前を除いては」


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