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何でもいいから名ゼリフをカキコするスレ

1347( ´_ゝ`)流石だよな俺ら。:2006/09/18(月) 00:04:46 ID:tadl78Lo
 「ムカイ様がいらっしゃったということは、・・・・・・いよいよ召集が?」
 「それはマだだ。それよりボタン」
 「はっ」
 「ヒトをアマくミてはおらぬであろうな?」
 「・・・・・・」

 足元に膝をつく牡丹を見下ろすムカイ。底光りのする目は、彼女の心の内側を覗き込んでいる。

 「マサカ、そのネコのヨウに、チカラづくでアヤツろうと?」
 「それは不可能です」

 牡丹は説明した。ヒトを、それも三種の神器に数えられるほどの人間の意志を、
 完全にこちらの思うように動かすことはできない。しかし相手に「意思を植え付ける」
 ことは可能である。何かを為さねばならない。何かを行わなければならない。
 何かを護らねばならない。
 本人のそういう意思に擦り寄り、目的をすり替えることによって、
 「あくまでも本人の意思により」こちらの目的に合致させることが可能になる。
 そのことによって生じる様々な矛盾は、操られる本人が自分にとって都合の良い
 記憶や条件を己の中で作り上げ、自己補完してしまう。
 牡丹は、ただきっかけを与えるだけでいい。ある意味では猫に自殺させる方が困難なのだ。

 「ヒトはヨワい」

 ムカイは説明を聞き終えると、牡丹から視線を外さずに言った。

 「ヒトはキタナい。ヒトはオロかだ」

 言いつつ、黒猫型の意思を牡丹の前に投げて転がした。
 苦悶の表情を浮かたままの猫の顔が、地面と牡丹の間に転がり割って入った。

 「ヒトはミニクい。ヒトはアサましい。されどヒトはトキにテゴワい」
 「その話は幾度も聞き及んでおります」

 ムカイはうなずいた。ただの人間など、ムカイの恐れる存在ではない。
 しかしそのただの人間が、あるとき、とてつもない力を発揮するときがある。
 己が生きるために我が子すら悪魔に差し出そうとする親がいるかと思えば、
 同じ「ヒト」が己の命すら投げ出して他人を救うことがある。
 相争って破滅への道を突き進むのもヒトなら、危機に際して信じがたい団結力を発揮する
 のもヒトである。牡丹はヒトを理解できず、だからこそ見下していた。
 無界もヒトがわからないが、であればこそ恐るべき敵とみなしている。

 「その件は承知いたしました。ところで・・・・・・」
 「ナンだ?」
 「キング・オブ・ファイターズに気になる者が出場しております」
 「クサナギか? ヤガミか? それともK’とかイうオトコのコトか?」
 「その誰でもありません。何でも・・・・・・」

 一瞬口ごもった牡丹は、だがすぐ続けた。

 「翠色の炎を使う者がいる、と。・・・・・・ひっ!!」

 鼻先に転がっていた猫型の石が、突如生身に戻って身体を翻した。
 意表を突かれてさすがの牡丹も驚いたらしい。黒猫は片足の火傷をものともせず、
 次の瞬間には風のように、どこかの闇の中へと駆け去っていった。

 「ネコでさえボタンをオドロかす。ましてヒトならば・・・・・・」
 「・・・・・・」
 「ミドリのホノオのツカいテか。オボえておこう」


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