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何でもいいから名ゼリフをカキコするスレ

1332( ´_ゝ`)流石だよな俺ら。:2006/09/13(水) 18:08:05 ID:E68aIGTs













「───────────────────── ────────────────────── ────────────────────── ────それはね、シオン。答えを見たからだよ」













泣き笑いの仮面で。
 この上なく優しく、ソレは言った。

「え────」

「答えを見たんだ、シオン。
 私は答えを見た。そして君も、いつかはその果てに辿り着くだろう」

「優れた錬金術師ならば誰でも辿りつける。私たちは魔法使いたちのような出し惜しみはしない。 ちゃんと世界の全てを知り、きちんと計算をすれば誰だってたどり着けるよ。


 その、変えようのない終わりというものに。


 アトラスは狂人の蔵なんだ。
 未来に避けられない滅びがあると知り、あらゆる手段をもって対抗策を作る。
 けれど対抗策を作れば作るほど、滅びはおぞましさを増して私たちを打ちのめした。
 何をしようと救いなどない。私たちはあらゆる人間に平等な世界をもたらす為、未来を読んで世界を運営しようとした。なのに、まず初めに出てきたのは滅びなんだ。

 考えた。考えた。考えた。考えた。考えた。考えた。考えた。考えた。考えた。考えた。考えた。考えた。考えた。考えた。考えた、考えた、考えた、考えた考えた、考えた考えた考えた……!!

 そう、あらゆる方法をシミュレートした! なのに手を尽くせば手を尽くすほど、私たちは余計ひどくてメチャクチャでグロテスクな未来を運営するだけだったんだ! 狂った。滅びの未来に至った錬金術師はみな狂った。狂ったように未来に挑んだ。そして本当に気が触れた。

 ───ああ、君もアトラシアの名を冠したのなら、いずれあの穴蔵に落ちるだろう。

 歴代のアトラシア、狂いながら新しい滅びを計算する錬金術師を押し込めたあの地獄に!

 私は───それに挑んだんだ。
 不可能を可能にするのがアトラシアの称号だ。 結論として吸血種となり自身の能力を強化させ、奇跡へと至る事だった」

泣き笑いのままソレは言う。

 ……そう、泣き笑い。
 アレの顔があそこまで歪んでしまった理由。
 それは、未来を読むという私たちの存在自体が、まったく意味のない事なのだと思い知らされたが
故なのか。
 ただ必死に、自身の無力さを否定する為に走り続け、その果てに正気を失った───

「……ワラキア、貴方は……」

「キ……キキ、キキキキキキキ! タベロタベロタベロタベロ、骨ノ髄マデ食イ尽クセ! 救いナンテありはシナイ娯楽なんてアリハしない、ツマらないツマラナイ、人間ナンテツマラナイ!ツマラナイクダラナイ、ウバイアイコロシアイ!ソウシテ自滅シロ自滅シロ、ツマラナイナラ自滅シロ! キ、キキ、キキキ、キキキキキキキキキキキキキ───キキ、キ、キ。ひ。
 ひひひ、あははははははは!
 ソウダ、ワタシ、ワタしハ、そウ───ただ、計算しきれぬ未来こそガ、欲しかった────」

「ばかね。生まれてきたからには終わりはあるものなのに。わたしたちの終着駅はみな滅び。それを受け入れられないのなら、大人しく自滅しているべきでしょう」

 真祖の言葉はもっともだ。
 私も彼女の呟きには同意する。

「……そうだな。けど、アイツは知ってたんだろ。そういう未来があって、ついでに、自分たちにはそれを回避できる手段があるんだって。
 だから認められなかったんだ。
 だって逃げ道が見えているんだから、道がある限り試し続ける」

「………………」

「なまじ先が見えたからしょった苦労か。俺には同情する気なんて微塵もないけど───ワラキアの夜っていう吸血鬼の発端には、何の悪意もなかったって信じてもいい」

「志貴は甘い。発端がどうであれ、アレは数多くの人間を殺してきた。その罪の前に、罰が軽減する事はありません」

「知ってるよ。けど君ぐらいはそう思ったら? アイツ、最後にちゃんとシオンって口にしたんだから」

「───ふう。ですから、それで殺された人々が救われる訳でもないでしょう。
 ズェピア、いえ、ワラキアの夜は殺戮者でした。その事実につまらない感傷を挟んではならない」

 それは覆らない事実。
 志貴の言葉は意味のない感傷だ。
 …………それでも告白してしまえば。


 その一言に、あの男が救われたと信じたい。


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