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何でもいいから名ゼリフをカキコするスレ

1165(´・ω・`) 名前消えた:2006/07/31(月) 11:36:26 ID:1tc9bZno
 なるほど…
 それは少しだけ理解できた。
 ようするに殺人行為を嗜好しているワケではなく、殺人を行為してしまった場合、その作業に没頭できるかどうか。

 それがズレているかいないかの違いという事らしい。

「アンタさ。子供の頃、ラジオとか解体してた口じゃない?」
「螺字男……?いや、そんなヤツをバラした事はねえけど」
「―――オーケー、つまらないボケをありがとう。
 ついでに言うと、今のは冗談だよ。有機と無機は対極だからね。俺たちみたいなのはわりと医者とかが向いてるかもしれない」
「医者、か。オレ、クスリは嫌いだ。射たれると自分が希薄になるだろ。なんだかさ、傀儡になりさがる気がするじゃんか」
 ……そんなものか。
 こっちは主治医までいる体だから、クスリなんてもう日常茶飯事なものだけど。
「―――――あーあ。楽しかったぜ、ほんと」
 男は腰をあげる。
 そうして――――感情のない目でオレを見下ろした。
「―――さて。同じ街に二人はいらねえよな。こんな狭い檻の中にライオンが二匹もいたんじゃ縄張りさえ作れない」
 男はナイフを取り出そうとする。
 無機質な殺気。
 男は本気で、俺と殺し合いを望んでいる。
「やめておいたほうがいいよ」
 至極自然に、そんな声が出た。
「なぜ?」
「そりゃあ、生き物としてアンタのほうが強いけど」

 ――――だが、それが殺し合いなら。

「アンタより、俺のほうが優れてる」

「――――――、――――――」
 ぎり、という歯が軋む音。
 男はひきつった笑みを浮かべたあと、
「ハ……あは、あっーはっはっは……ッ!!」
 なんて、大声で笑い出した。
「なんだよ。そんなに可笑しかったのか、殺人鬼」
 ひひ、ひひひ、と男は神経質に笑い続ける。
 ……仕方がないのでこのまま放っておこうとした矢先、男はピタリと笑い止んで俺を見た。

「――――そうだな。オマエは、正しい」

 それだけ言うと、男は一人で歩き出してしまった。

「これで潮時になっちまった。おまえみたいなヤツが出てきた以上、オレの方がこの街を出て行くしかないもんな」
「……別に俺はアンタの後釜につく気はないけど」
「いやいや無理だって。今夜、初めて夢中になれたんだろ? ならもう明日からも同じ事さ。オマエはもう一日だって我慢する事なんてできねえよ。
 それじゃあまあ、二度と会わない事を祈ってるぜ」
 片手をあげて、男は去っていった。

「――――――――」
 二度と会わない、と聞いて少しだけ残念に思った。
 足元には男が飲み干した缶コーヒーが十缶ほど。
 つまり、この借りを返してもらえる事はないという事だった。


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