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何でもいいから名ゼリフをカキコするスレ
1163
:
(´・ω・`) 名前消えた
:2006/07/31(月) 11:11:49 ID:1tc9bZno
それから一時間ばかり、男と話した。
道行く車を眺めながら、とりわけ意味のない事を語る。
中でも意味がなかったのは、お互いの能力についてだった。
物の死が視えると言う俺の眼と、
中々死に難いという男の体。
お互いその原理を語り合っているうちに、
「……そっか。それじゃあさ、オマエってもしかして五感を殺せるってコト?」
なんて、意味不明なコトを言い出した。
「できない。そんな曖昧な、表現でしか表現できないものは殺せない」
「そんなワケねえだろ。いいか、視覚なら眼、聴覚なら耳を殺せばいいだけの話じゃんか。けどそんな事ならオレにでもできる。
けどオマエは違うだろ。モノを潰さずに殺すコトができる。オマエはさ、その線とやらが見えている時点で物体じゃなくて意味を殺しているんだよ。
だから――――五感の上にあるもの、第六感とかそういった便宜上のモノ……魂とか感情とか、そういったモノだって削り取れるハズだぜ」
「………………………ふうん」
……それは、確かにそうだ。
もともとオレの眼はそれ自体が異状なもの。
それをまっとうな理屈で考える事自体、前提を間違えている。
……なら俺はアレを倒せるだろうか。
子供の頃に一度だけ見かけた蜃気楼。
たしか、くれないせきしゅ、とか言う憑き物。
「けど、それはタイヘンそうだ。そんなモノまで視えてしまったら、オレはマトモな思考ができなくなると思う」
「だな。人間の頭脳しかもってないくせに、神様の計算をしようってコトだもんな。そりゃあ廃人になるぜ、普通」
言って男は立ちあがると、また自動販売機まで歩いていった。
「おい」
自販機を見たまま、後ろにいる俺に手を差し出す。
コインを投げると、男は器用に受け取ってまた缶コーヒーを買ってきた。
男は缶コーヒーを飲んだあと、
「久しぶりに人間と話してる」
なんて事を口にした。
「……おかしな事を言うね。アンタ、今まで無人島にでも住んでいたのか?」
「あー? 今も住んでるぜ、この無人島にさ。なんでもオレは世間とズレているらしい。意味もなく人殺しをするようなヤツは正気じゃないんだとよ。
だからまあ、ズレてるオレはズレてないヤツラと話しても会話が成立しないわけ」
「……ふうん。ズレてるんだ、俺たち」
「そっ。どっちが異常なのかは問題じゃない。ようは世間から外れているほうがズレてるワケ」
「そう? 異状なのは世間のほうかもしれないよ」
「へえ、そりゃあどういう意味だ」
「言葉通り。アンタだって言ってたじゃないか。
多数決と一緒。大部分の意見に賛同しなかった小数意見は“使えない”と除外されるじゃないか。
どっちが正しいかなんて、関係ないんだ。みんなに合っていないヤツは、正しかろうがなんだろうが仲間はずれにされるだけ。ズレてるなんていう表現には普遍的な基準は当てはまらないよ」
「―――――フン。じゃあ何か、オレたちみたいな殺人鬼は悪党じゃない、って言ってるワケ?」
「……さあ。事の善悪などは知らないよ。ただ理屈で考えるとズレているのは俺たちじゃないだろ。
……そうだな、例えばボクサーっているじゃない。別にボクサーじゃなくてもいいんだけど、とりあえず解りやすいから例にあげる」
「ボクサーっていうのはさ、殴り合うのが仕事なんだって。それもただ殴り合うだけじゃないんだ。減量っていう苦しい思いをして、毎日毎日人を殴る訓練をする。
いかに人をうまく殴るか。いかに効率よく人を倒すか。それだけを毎日、刃物を研ぐように鍛え上げていくんだ。
これってさ、どう思う?」
「……ふうん。そんな連中がいるんだ。で、続きは?」
「いや、それだけだよ。
ただね、彼らは殴り合うだけで相手の息の根は止めない。そりゃあ事故で死んでしまう場合もある。けどその場合は一般的な殺人罪には問われない。
なんかさ、これってすごくない?」
「―――殺してもいいってコトかよ、それ」
「違う違う。殺しちゃ駄目。けど殺してもいいんだ。すごい矛盾だろ。それだけじゃない。ボクサーってのは拳が凶器として認められるから、ケンカをしちゃいけないんだって」
「これってすごいぜ。ボクサーの拳が凶器だって解ってるのにさ、どうしてボクサーなんていう職業があるのかな。人を殺しかねない凶器ならさ、ボクサーっていうモノを無くすべきだろ。
殺しちゃ駄目、殺しちゃ駄目。
そのくせ世界にはね、人殺しの道具があふれているんだ。法律でさえ容認されている。なのに人殺しは駄目だっていうんだからこれはもう混沌というしかない。
常識というものが多くの人間が考えているような善良なものであるのなら、俺たちはズレてないんだよ。
だって、常識からズレているのはこの世界のほうなんだから」
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