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雑談スレ

393無能大佐大総統 </b><font color=#FF0000>(SQQQQQQA)</font><b>:2005/03/03(木) 23:14:18 ID:S03j7Oko
「君たちのような子供が、憧れの存在を真似る気持ちは分かる。だが、度が過ぎるぞ。これが大人なら即刻殴るんだが」
 レマックの傍で、エリサも悲しそうに二人を見ていた。
「…なに言ってんだよ」
「改心して、ちゃんと名前を名乗る気になったら、また来なさい」
 アルフォンスとエドワードは背中を押され、店の外に追いやられる。追って投げられるトランク。
「なんだよ、ちゃんと名乗るもなにも俺はエドワード・エルリックだ!」
「ボクだってアルフォンス・エルリックですよ」
 だが二人の主張は無視された。町の者は本当に信じてないのだ。誰かが言った。
「そんな不釣り合いな兄弟だってのがそもそもおかしかったんだ」
「なんだと!?」
 その一言が、エドワードを怒らせた。
「ふざけんな!! オレたちは嘘なんて言ってない! オレはエドワードで、こっちはアルフォンス! オレの弟だ! 不釣り合いなわけないだろうっ」
 今にも殴りかかりそうなエドワードをアルフォンスは押さえる。
「兄さん!」
「アル、止めんなっ」
「待ってってば。…皆さん、誤解があるようですが、ボクたちは本当にエルリック兄弟なんです。信じにくいかもしれないけど、本当です」
 ちゃんと話そうと努めるアルフォンスの腕を、エドワードは掴む。
「行くぞ、アル! こんな失礼な奴らと顔も合わせたくない」
「兄さん!」
「嘘でもないことを頭ごなしに否定されてムカつく! こっちは勝手にやらせてもらう。研究室だって行きたきゃ行くさ」
「なんだ、研究室見たさに嘘をついたのか? ちゃんと名乗れば…」
 エドワードは振り向くと、町の者たちをぎっと睨んだ。
「ちゃんとした名前はもう名乗った。信じないのはそっちだろ!」
 アルフォンスはトランクを手にする兄を見ながら、レマックにお金を差し出した。
「御飯代です。ご馳走様でした」
「…ああ。残念だよ」
 レマックは言う。錬金術師への期待を裏切られたこと、素直そうな子供が嘘をつくこと。どちらにもがっかりしたに違いない。
「もっといい嘘なら良かったんだがな。エルリックを名乗るとはね。さあ、皆戻ろう」
 レマックは皆を促す。
「どうして嘘だなんて思うんです?」
 その問いに、扉を閉める直前でレマックは振り返った。
「…エルリック兄弟は、すでに研究室にいるよ」
 その言葉を残して、扉は静かに閉ざされた。


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