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雑談スレ

391無能大佐大総統 </b><font color=#FF0000>(SQQQQQQA)</font><b>:2005/03/03(木) 23:13:13 ID:S03j7Oko
「今ここで議論しても始まらん。できることをやっておこうじゃないか。ノリス、金脈を見る専門の先生は探したのか? それにそろそろ坑道に戻らないと。デルフィーノは細工の仕事を一件受注しているんだよな?」
 レマックは店内の皆に声をかけて、励ますように彼らの背中を叩く。最後に言われたデルフィーノという男は、ベルシオに一番きつく当たっていたが、不服そうにしながらも立ち上がる。
「そうだ、君たち」
 レマックがエドワードを振り返る。
「デルフィーノは町一番の腕を持っているんだ。小さくて安い商品も扱ってるから見に行ったらいい。他に見せられるようなものはないしね」
「ありがとう。…でも今は、マグワールさんとこの研究室が見たいな」
 真剣に言ったのだが、途端、レマックは笑い出す。出て行こうとしたいた皆も戸口でおかしそうに笑っていた。
「ははは。娘とあまり変わらなそうな歳なのに、あんな小難しい錬金術の方に興味があるとはね!」
 レマックはエドワードの頭をぐりぐりと撫でる。レマックから見れば、エドワードはただの小さな少年だ。
 この町の住人にとって、錬金術は希望でありながら、難しく高度な学問なのだ。
「あそこは出入り禁止なのさ。我々も研究室には入れない」
 誰かが続ける。
「錬金術に興味がある子供なんてはじめてだ。あ、もしやお父さんの影響かい?」
 お父さん、を、町の者が一斉に見る。その視線の中心には、青銅の鎧。
「……はい?」
 事態を飲み込めず、聞き返したアルフォンスの横で、エドワードは、これは初めての説だな、と感心していた。
「…ちょっと、ひどいよ」
 アルフォンスは兄を睨む。
「悪い悪い。だって、お父さんと間違われのは初めてだからさ」
 大きな鎧姿と少年、という組み合わせは、今までも他人に色々な間違った想像をさせてきた。兄と弟が逆に思われることはもはや当然で、兄弟だと名乗らなければ、さらに想像は突飛なものになる。大道芸人、闇の仕事を請け負う伝説のコンビ、どこかのご子息と護衛人。数々の肩書きを貰ってきたが、父親と息子説は意外に初めてな二人であった。
「…違うのかい?」
 笑うエドワードと困った様子のアルフォンスに、町の者が聞いてくる。
「違うよ、オレ達は兄弟だ」
 エドワードははっきりと言う。そして、毎度のように見てきた反応をまた眺めることになる。
「兄弟!?」
「本当に!?」
 一同は皆驚いて二人を見比べている。
「本当ですよ」
 アルフォンスが答える。
「これでも結構似てるんですよ」
「へええ。言われれば、声の感じが若いものなぁ」
「こりゃ失礼したね」
「いえいえ」
 アルフォンスは、謝る皆に手を振る。
「よく間違われるので気にしてません」
「いやいや、お父さんなんて言って悪かったね」
 一人が、謝罪と友好を込めて、アルフォンスの肩を叩こうと手を伸ばす。
「お兄さん」
 ポン。
 ―――しばしの沈黙が流れた。
「…オレが兄だ!!」
 数秒後にエドワードが大声で宣言すると、今度こそ一同は驚愕したのであった。
 いつものこととは言え、怒りで震えるエドワードと、同情しつつも仕方ないと傍観するアルフォンス。兄弟の旅人を親子と間違った上、どちらが兄であるのかということまで間違えてしまい、申し訳ないと思いつつもミスマッチに驚く町人たち。


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