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雑談スレ

388無能大佐大総統 </b><font color=#FF0000>(SQQQQQQA)</font><b>:2005/03/03(木) 23:06:44 ID:S03j7Oko
 やっと着いた町の入口には、何軒もの朽ちかけた家があり、窓枠や土台は地面と同じように土色に変わっていた。それでも町の真ん中辺りまで進むと、活気が感じ取れるようになる。人々の話し声や、岩を叩く音。店には「オープン」の札がかかり、窓からは豪奢な金細工の商品が見て取れた。
 エドワードはゆっくりと走って行くトロッコを目で追う。
「この寂れた町にオレ達の探すものがあるといいけどな」
「どうだろうね。異常に金が発掘されると聞いたから、もしかしたらと思っていたけど…それにしては荒れ果ててるね」
「大量の発掘は、ただの偶然みたいだ。金が無限に生まれたわけじゃないのかも」
「…じゃあ、戻る?」
「まさか。決めただろ。しらみつぶしに探すって。「そうかも」や「そうらしい」かは、行って確かめるさ」
 エドワードの瞳が強い意思を秘めて煌く。その揺るぎない決意にアルフォンスも大きくうなずいた。
「そうだよね」
「そうさ」
 互いの意思を確認し合った二人は、とりあえず一息つくために町の中心にある食事屋へと入って行った。
 店には、十個ほどのテーブルがあり、採掘で土にまみれた男達が数人座ってコーヒーを飲んでいた。彼らに、どーも、と挨拶しながら二人は席につく。
「見ろよ、アル。金細工の平面図だ」
 エドワードは壁に張られた紙を指差した。
「この完成品をどっかの金持ちが買ったんだってさ」
「凄いねぇ」
 アルフォンスは感嘆する。
 豪奢に、そして、緻密に描かれた図は、完成品がどれだけ素晴らしいものか、見る者の想像力を刺激する。壁には何枚もの図面が貼られており、店に来た旅行者にこの町の技術を知らしめるには充分だった。
「うわ、凄い値段だ。えっと、一、十…」
 一枚の図面に顔を近づけて見入っていたエドワードは、下に書かれた売買時の価格を見つけて、ゼロの分だけ指を折る。
「百…五百…五百万センズ!? ホントかよ」
 べたりと壁に張り付いて数字を数えるエドワードの隣で、アルフォンスは落ち着いて壁をゆっくりと見る。
 繊細な模様のついた大きな器や、短い足のついた小さなテーブル。黒いペンで描かれたそれらが本来は金色だと思うだけで目が眩みそうだ。欲しいとは思わない。だが、目を奪われる図面ではある。
 アルフォンスは、一番大きな図面に見入る。それも素晴らしい細工だった。
「金細工なんて、贅沢品なだけかと思ってたけど……」
「芸術品でもあるだろう?」
 まさに言おうとした言葉を当てられて、アルフォンスは声の主へと目を向けた。
「注文、なんにするかい?」
 そう二人に笑顔を向けたのは、顎に髭のたくわえた、ひょろりと背の高い男だった。店の主人であるらしく、エプロン姿がさまになっている。
「いらっしゃい。旅の人だね? ここの金細工も素晴らしいが、うちのチキンの香草焼きもなかなかだよ」
 主人が屈託なく笑うと、店にいた他の者たちがそれぞれのテーブルから話し掛けてくれた。
「旅の人、それを頼むのがいいよ。香草焼き以外は、おススメできない」
 誰かが言うと、店の中に笑い声が溢れた。


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