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雑談スレ

387無能大佐大総統 </b><font color=#FF0000>(SQQQQQQA)</font><b>:2005/03/03(木) 23:03:58 ID:S03j7Oko
レールの脇に放り出されたトロッコや、数え切れないほどの岩や土砂利の山。そのまわりに立つ鉄骨。荒れた雰囲気は否めなかった。
 茶色の大地の上で、ぶらさがった滑車が、風が吹くたびカラカラと揺れていた。
「見ろよ、これ。随分使われていないみたいだ」
 エドワードは、赤く錆びた塔をつついた。
「今にも崩れそうだよな。指一本で倒せたりして」
 はは、と笑ったエドワードに押されるままに、塔がゆっくりと傾く。
「あ」
 本気で倒すつもりはなかったのだが、すでに遅い。
 キイィィィィィ………ドォォォン………。
 塔は、力尽きたかのように倒れてしまった。
「………」
「…崩れそうっていうか、崩したね、兄さん」
 この塔は放置しているのだろうと勝手に思い込んではいるが、まだ使っている可能性もないとは言えない。
「…錆びてたし、使ってないよな?」
 しまった、という顔をしながら同意を求めるエドワードに、アルフォンスはうなずきながらも優しく答える。
「でも、町から聞こえるあの音は、まだ採掘はしている感じだよね」
 耳をすませば機械の稼動する音と、山を削る音が風に乗って聞こえてきていた。となると、このことが知られたら、町の物を壊した二人はいい印象を抱かれないだろう。旅先でわざわざ問題を自ら提供するのは馬鹿らしい。
「兄さんたら、そういうトコ相変わらずだよね。気をつけてよ」
 まるで小さい弟を注意するようにアルフォンスに言われて、エドワードは肩を竦めた。
「とりあえず、直しとくさ」
 手にしたトランクをアルフォンスに突きつける。
「崩れそうなものに、わざわざ手を出す人なんてそうそういないよ、もう」
 そう愚痴るアルフォンスの前で、エドワードの両手が勢い良く合わさった。
 崩れた塔の一点に、空気が収縮したかのように見えた。その一瞬後に弾けるように大気が振動し、光が飛び散る。
「…一丁あがり。さ、行こうかアル」
 霧散した光が消えると、エドワードはトランクを持ち直し、歩き出す。追いかけるアルフォンスの後ろで、そっくり元のまま、塔が建っていた。


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